通関実務解答&解説

問93 解答&解説

設問1

品目番号 課税価格(円)
第1欄 1806.31-0004 1,672,000
第2欄 1905.31-0002 1,168,500
第3欄 1704.90-2102 467,400
第4欄 2007.91-1194 389,500
第5欄 1905.32-000X 311,600

1. 品目分類の根拠

品目 分類 理由
板チョコレート(詰物入り) 1806.31 ココアを含有する調製食料品は第18.06項。塊状・板状・棒状で詰物をしたもの(ヘーゼルナッツクリーム入り)なので1806.31(詰物なしなら1806.32)。
フルーツキャンディー 1704.90-210 ココアを含有しない砂糖菓子は第17.04項(第18類ではない)。チューインガム(1704.10)以外で、統計細分「キャンデー類」なので1704.90-210。17類(砂糖菓子)と18類(チョコレート菓子)の境界が論点。
スイートビスケット 1905.31 ベーカリー製品は第19.05項。スイートビスケットは1905.31に特掲。
ウエハース 1905.32 ワッフル及びウエハースは1905.32に特掲(ビスケットと別号)。
紅茶ティーバッグ 0902.30-010 茶は第9類(飲料の22類ではない)。発酵茶(紅茶)で正味3kg以下の直接包装(小売箱100g)なので0902.30-010。
オレンジマーマレード 2007.91-119 ジャム・マーマレード類は第20.07項。かんきつ類の果実を用い、砂糖を加えたマーマレードなので2007.91-119。

2. 課税価格の計算(関税定率法第4条)

加算・不算入の判断:

  • 仲介手数料 £500 → 加算(定率法4条1項2号イ「仲介料その他の手数料」。売手・買手双方のための仲介であり買付手数料に当たらない)。仕入書価格に応じて按分: 500 ÷ 20,000 = 2.5%
  • 買付手数料 £300 → 加算しない(4条1項2号イの括弧書きにより「買付手数料」は除かれる)。
  • 無償提供した装飾用ギフト缶 114,000円 → 加算(4条1項3号イ「輸入貨物に組み込まれている材料、部分品又はこれらに類するもの」に該当する、買手が無償提供した小売用容器)。板チョコレートのみに加算する。
  • 輸入後に自己のために行う成分検査費用 50,000円 → 加算しない(買手が自己のために行う活動の費用であり、課税価格に算入しない)。
  • 仕入書はCIF建てのため、輸入港までの運賃・保険料(4条1項1号)は既に含まれており、別途加算不要。

各品目の課税価格(1£=190.00円):

品目 CIF(£) ×1.025(仲介手数料按分後) 円換算 個別加算 課税価格(円)
板チョコレート 8,000 8,200.0 1,558,000 +114,000(缶) 1,672,000
キャンディー 2,400 2,460.0 467,400 467,400
スイートビスケット 6,000 6,150.0 1,168,500 1,168,500
ウエハース 900 922.5 175,275 175,275
紅茶 700 717.5 136,325 136,325
マーマレード 2,000 2,050.0 389,500 389,500

3. 少額合算の処理

  • 課税価格20万円以下の少額貨物はウエハース(175,275円)と紅茶(136,325円)。少額判定は加算要素を含めた課税価格で行うことに注意。
  • 両品目とも関税は有税(いずれも原産品申告書がなくWTO協定税率: ウエハース18%、紅茶12%)なので一括して一欄にまとめ、適用される関税率が最も高いウエハース(18%)の品目番号を掲げる → 1905.32-000X
  • 合算後の課税価格: 175,275 + 136,325 = 311,600円。順位は合算後価格で判断し、本問では最小なので第5欄。

設問2(CPTPP原産地手続)の解答例

  • CPTPPの原産地証明は自己申告制度(自己証明制度)のみであり、第三者機関(商工会議所等)が発給する原産地証明書の制度はない。輸入者、輸出者又は生産者のいずれかが作成する「原産品申告書」によって原産性を申告する。
  • CPTPP税率の適用を受けるには、輸入申告の際に原産品申告書(税関が必要とする場合には、原産品であることを明らかにする書類(原産品申告明細書及び契約書・製造工程表等の関係書類)を追加で)を税関長に提出する。ただし、課税価格の総額が20万円以下の貨物については原産品申告書等の提出を要しない。また、第三国を経由する場合には積送基準(運送要件)を満たし、必要に応じ通し船荷証券等の運送関係書類により確認できることを要する。
  • 本問では板チョコレート及びスイートビスケットは生産者作成の原産品申告書があり、積送基準も満たすため、CPTPP原産品としてCPTPP税率を適用できる。令和8年4月1日版では、スイートビスケット(1905.31-000)は3.7%である。板チョコレート(1806.31-000)は関税割当数量以内が無税・数量外が10%であるが、本問では関税割当証明書の交付を受けていないため、適用されるのは枠外税率10%である。原産品申告書があることだけで枠内無税となるわけではない。キャンディーは原産品申告書等がなく、課税価格(467,400円)も20万円を超えるため、CPTPP税率は適用できず、WTO協定税率(25%)による。
  • (補足)英国は2024年12月にCPTPP加入議定書が発効した新規加入国であり、第60回試験の時事論点として重要。なお英国原産品には日英EPAも併存しており、実務上は要件を満たすいずれか有利な協定の税率を選択できる。