3科目ガイド 01

本書の使い方

本書は、通関士試験を初めて受ける社会人・実務家のための「見取り図」と「基礎講義」である。用語を避けて雰囲気だけを説明するのではなく、実務で目にする書類・取引・貨物を、試験で問われる法的な枠組みに置き直す。

最初から全条文を暗記する必要はない。まず次の一本の流れを持ち、各論点がどこに位置するかを確認してほしい。

契約する → 運ぶ → 保税地域に置く → 分類・評価・税率を決める → 申告する → 税を納める → 許可を受ける → 記録を保存し、事後確認に備える

通関業法は、この流れを他人の依頼を受けて扱う事業者と通関士を規律する。関税法等は、貨物と租税・手続を規律する。通関実務は、両方の知識を使って分類・計算・申告書作成を行う科目である。

本書で全体像をつかんだ後は、課税価格・税額・申告書を扱う『ケースで身につく通関実務』、品目分類の『関税率表 所属(HS分類)チートシート』、本番形式の『通関士試験 予想問題(第60回対応)』へ進む。

入口診断――既知領域は薄く、説明できない領域は厚く読む

次の10問へ、資料を見ずに答える。これは章を省略するためではなく、復習の濃淡を決める診断である。

  1. 通関業者と通関士の役割を別々に説明できるか。
  2. 通関業務と関連業務を、行為者ではなく行為の内容から分けられるか。
  3. 外国貨物が内国貨物へ変わる基本時点を説明できるか。
  4. 課税物件の確定時期と適用法令の時期を区別できるか。
  5. 仕入書記載額と現実支払価格が一致しない例を一つ挙げられるか。
  6. ロイヤルティその他のライセンス料(以下「ロイヤルティ等」)の二要件を言えるか。
  7. 商品名からではなく、通則・部注・類注から品目分類を始められるか。
  8. 外貨換算、価格配賦、同一番号の取りまとめ、少額処理の順を再現できるか。
  9. 従価税の課税標準と確定税額について、切り捨てる段階を説明できるか。
  10. X と E の違いを輸出・輸入の別を使わずに説明できるか。

回答できない問が多い領域から、次のように重点を変える。

現在地 厚く読む箇所 並行教材
物流・輸出入実務は分かるが、主体・許可・効果が曖昧 第3・4章 予想問題の通関業法・関税法等
法令知識はあるが、時間内の処理で失点する 第5章 『ケースで身につく通関実務』
分類根拠を説明できない 第5章5-2 HS分類チートシート
課税価格・端数・申告欄が混線する 第5・6章 ケース教材の判断マップと完全例
ほぼ全問説明できる 各章の30秒想起ドリルと第6章 予想問題124問で弱点確認