第1部 現実支払価格と課税価格
論点1M 特殊関係――関係があるだけでは取引価格方式を排除しない
判断課題
親会社と子会社の売買では、取引価格方式を使えないか。
原則
売手と買手に特殊関係があること自体ではなく、その特殊関係が取引価格へ影響したと認められることが、取引価格方式を適用できない事情となる。特殊関係には、議決権を伴う社外株式の総数の5%以上を直接又は間接に所有・管理・所持する関係のほか、役員、共同事業、使用者、支配、共通支配、親族等の法定類型がある。
特殊関係がある
├─ 価格への影響なし → 取引価格方式を使える余地
└─ 価格への影響あり → 取引価格方式を使わない
関係の有無と、価格影響の有無は別の問い。
| 取引価格方式を使えない事例 | 使える事例 |
|---|---|
| 親会社が子会社だけに原価割れ価格で販売し、関係のない買手の価格との差を合理的に説明できない。 | 価格決定方式が非関連者向けと同じで、通常の利潤・一般経費を回収している。 |
| 特殊関係により価格が影響を受けたと資料から認められる。 | 同時期の同種・類似貨物の所定の課税価格と同一又は近似し、影響がないと認められる。 |
結論を分ける事実
特殊関係の有無と、価格影響の有無を二段階で問う。比較価格、価格形成方針、利益回収等の資料を検討する。
典型的なひっかけ――誤った考え方
- 特殊関係を見つけただけで、価格への影響を調べず取引価格を否定する誤り。
- 「特殊関係がなければ、価格への疑義があっても必ず取引価格方式を使える」という思い込み。
ミニドリル
買手は売手の議決権株式を60%保有する。しかし、同時期・同取引段階・同数量の非関連買手への同種貨物と同額で購入し、価格形成資料も一致する。取引価格方式を当然に排除するか。
解答
当然には排除しない。特殊関係はあるが、提示事実から価格への影響がないと認められるなら取引価格方式を使える。