通関実務解答第60回

第60回 通関実務 第2問 解答

出典: 第60回(2026年)通関実務 第2問(配点15点)税関 通関士試験

正解

(a)⑨ 2101.11-1902
(b)③ 0813.10-0002
(c)⑪ 2101.20-1104
(d)⑥ 1106.30-200X
(e)⑮ 2202.10-2000
(f)672,000
(g)328,000
(h)288,000
(i)269,600
(j)240,000

解説

解説は現在、無料で公開しています。条文は法令の条文から、通達は基本通達や告示から、設問は設問に与えられた表や別冊から判定できることを示します。

論点: 申告書作成(輸入)/条文: 関税定率法第4条、関税定率法施行令第1条の5、関税定率法第4条の7、関税定率法施行規則第1条、関税暫定措置法施行令第25条

結論

換算相場は前々週(9月13日〜19日)の160円。加算するのはインスタントコーヒーの技術者滞在費1,200ドルと、乾燥あんずの包装資材費600ドル及びその運賃25ドルで、レモネードの広告宣伝費800ドルは加算しない。所属は、ココナッツパウダーが第8類から外れて第11.06項に入ることが一括欄の番号を決める。

根拠

【換算相場】関税定率法第4条の7第1項が輸入申告の日の外国為替相場によるとし、同条第2項の委任を受けた関税定率法施行規則第1条が、その日の属する週の前々週の週間平均値に基づく公示相場とする。申告日の令和8年10月3日(土)の週は9月27日〜10月3日、前々週は9月13日〜19日で160円。

【加算の可否】

  • 記9 レモネードの広告宣伝費800ドル — 加算しない。関税定率法基本通達4-2(4)が「買手が自己のために行う活動のうち法第4条第1項各号に規定する加算の対象となる活動以外の活動に係る支払(例えば、買手のための広告宣伝、販売促進、アフターサービス等に係る支払)は、売手の利益になると認められる活動に係るものであっても、売手に対する間接的な支払に該当しない」とする。本邦の広告会社に本邦での広告のために払うもので、これに当たる。
  • 記10 インスタントコーヒーの技術者滞在費1,200ドル — 加算する。関税定率法基本通達4-2の3(3)は、製造過程で買手が行う検査の費用は算入しないとしつつ、「ただし、検査と合わせて製造作業に従事している場合は、当該業務を行う者に係る費用は売手のために行われた間接支払に該当する」とし、その費用に「(ロ)滞在費」を挙げる。記10の技術者は品質検査に加えて製造作業にも従事しているから、ただし書に当たり、現実支払価格(関税定率法第4条第1項)に含まれる。
  • 記11 乾燥あんずの包装資材600ドルと運賃25ドル — 加算する。関税定率法基本通達4-11は、包装が輸入貨物の一部を構成し、その費用が買手により無償で提供された物品に係るものである場合は関税定率法第4条第1項第3号の費用に当たるとする。同号イの物品に要する費用は、関税定率法施行令第1条の5第2項により、取得に要する費用に「当該物品を輸入貨物の生産及び輸入取引に関連して提供するために要した運賃、保険料その他の費用であつて買手により負担されるもの」を加算した額である。600 + 25 = 625ドル。
  • 記12により特殊関係は無く、取引価格によることに支障はない。

【所属】

  • インスタントコーヒー(カフェイン除去・しょ糖10%) — 関税率表解説(別冊)が、第09.01項からコーヒーのエキス、エッセンス及び濃縮物(インスタントコーヒー)を除いて第21.01項に送り、第21.01項の解説(1)がカフェインを除去してあるかないかを問わないとする。2101.11のうち「1 砂糖を加えたもの」に当たり、しょ糖が全重量の50%未満なので細分190、2101.11-1902。
  • 乾燥あんず(丸のまま・無加糖) — 記13により糖類コーティングが無く、砂糖により調製した第20.06項ではない。生鮮の第08.09項でもなく、乾燥果実の0813.10。
  • インスタントティー(無加糖) — 茶のエキスとして第21.01項。2101.20の「1 茶又はマテのエキス、エッセンス及び濃縮物並びにこれらをもととした調製品」の「(1)インスタントティー」で2101.20-1104。記14(ミルクの組成分なし)は「2 茶又はマテをもととした調製品」の細分を退けるための材料で、エキスである以上は細分110に決まる。
  • ココナッツパウダー(無加糖) — 関税率表解説(別冊)の第8類総説が、この類に含まない物品として「(i)果実の粉、ミール及び粉末(11.06)」を挙げる。したがって0801.11の乾燥したココやしの実ではなく、1106.30「第8類の物品のもの」のうちバナナ以外の「その他のもの」で1106.30-200(協定税率15%)。
  • ルイボス(ティーバッグ入り) — 記15によりアスパラトゥス属の植物で、茶属の植物ではない。関税率表解説(別冊)の第09.02項が、茶属の植物から得られたものではないハーブ「茶」を同項から除き12.11項等に分類されるとし、実行関税率表の1211.90に「4 ルイボス」(細分500、協定税率3%)がある。
  • レモネード(炭酸入り・レモン香味・無加糖) — 香味料を加えた水であり、第22.01項ではなく第22.02項(解説(A)(2)がレモネードを挙げる)。2202.10のうち砂糖を加えていないので「2 その他のもの」、2202.10-2000。

【税率の比較(一括欄の番号)】記16によりRCEP税率は使わない。中華人民共和国は、関税暫定措置法施行令第25条第3項第1号により平成31年4月1日に特恵受益国等でなくなった(同条第9項の官報告示。税関「特恵卒業(除外)国・地域一覧」)ので、特恵税率も使えず、比較に使うのは協定(WTO)税率である。仮に特恵が使えるとすると両品目が無税となって別欄に分かれ、ココナッツパウダー単独の1106.30-200Eは選択肢に無いから、選択肢の側からもWTO税率での比較が前提だと分かる。1106.30-200は15%、1211.90-500は3%で、いずれも有税である。

計算

  1. 判断 換算相場は関税定率法施行規則第1条により前々週(9月13日〜19日)の160円。
  2. 算術 インスタントコーヒー 3,000 + 1,200 = 4200 ドル → 4,200 × 160 = 672000
  3. 算術 乾燥あんず 1,425 + 600 + 25 = 2050 ドル → 2,050 × 160 = 328000
  4. 算術 インスタントティー 1,800 × 160 = 288000
  5. 算術 レモネード 1,500 × 160 = 240000(広告宣伝費800ドルは加算しない)
  6. 算術 ココナッツパウダー 1,235 × 160 = 197600
  7. 算術 ルイボス 450 × 160 = 72000
  8. 判断 品目番号が同一の品目は無い。20万円以下はココナッツパウダー(197,600円)とルイボス(72,000円)で、いずれも有税だから記2により一欄にまとめる。
  9. 算術 197,600 + 72,000 = 269600
  10. 判断 記3(1)により関税率が最も高いもの、すなわち協定税率15%の1106.30-200を採り、10桁目をXとする。
  11. 判断 記6により申告価格の大きい順に並べる。672,000 / 328,000 / 288,000 / 269,600 / 240,000 の順。
品目 仕入書(US$) 加算(US$) 課税価格(円) 品目番号
インスタントコーヒー 3,000 1,200 672,000 2101.11-1902
乾燥あんず 1,425 625 328,000 0813.10-0002
インスタントティー 1,800 0 288,000 2101.20-1104
ココナッツパウダー 1,235 0 197,600 1106.30-200(一括、15%)
ルイボス 450 0 72,000 1211.90-500(一括、3%)
レモネード 1,500 0 240,000 2202.10-2000

各枝

  • (a)= 9 設問 インスタントコーヒーは関税率表解説(別冊)により第09.01項から除かれ第21.01項に属し、カフェイン除去の有無を問わない。しょ糖10%を含むので2101.11の「1 砂糖を加えたもの」、しょ糖50%未満の細分190で2101.11-1902。「2 その他のもの」の2101.11-2101(選択肢10)ではない。課税価格672,000円が最大で第1欄。
  • (b)= 3 設問 乾燥あんずは記13によりコーティングが無く、第20.06項(選択肢8)ではない。生鮮の0809.10(選択肢2)でもなく、乾燥果実の0813.10-0002。課税価格328,000円。
  • (c)= 11 設問 インスタントティーは茶のエキスとして2101.20の「1」に入り、別冊の細分110「(1)インスタントティー」で2101.20-1104。茶をもととした調製品の2101.20-2471(選択肢12)ではない。課税価格288,000円。
  • (d)= 6 設問 ココナッツパウダー197,600円とルイボス72,000円は20万円以下の有税品目で、記2により一欄にまとめる(合計269,600円)。ココナッツパウダーは別冊の第8類総説(i)により第11.06項に送られ1106.30-200(15%)、ルイボスは1211.90-500(3%)。記3(1)により税率の高い前者を採り、10桁目をXとして1106.30-200X。0801.11-000X(選択肢1)はココナッツパウダーを第8類に置いた誤り、1211.90-500E(選択肢7)はルイボスを単独欄とした誤り。
  • (e)= 15 設問 レモネードは香味料を加えた炭酸水で第22.02項に属し、砂糖を加えていないので2202.10の「2 その他のもの」、2202.10-2000。加糖の2202.10-1005(選択肢14)や第22.01項の2201.10-0005(選択肢13)ではない。課税価格240,000円は一括欄の269,600円より小さいので第5欄。
  • (f)= 0672000 通達 インスタントコーヒー。仕入書価格3,000ドルに、記10の技術者滞在費1,200ドルを加える。関税定率法基本通達4-2の3(3)ただし書により、品質検査に加えて製造作業に従事する者の滞在費は売手のための間接支払に当たる。4,200 × 160 = 672,000円。
  • (g)= 0328000 条文 乾燥あんず。買手が無償提供した包装資材は関税定率法第4条第1項第3号の費用(関税定率法基本通達4-11)であり、関税定率法施行令第1条の5第2項により提供に要した運賃も加える。1,425 + 600 + 25 = 2,050ドル、× 160 = 328,000円。
  • (h)= 0288000 設問 インスタントティーには記9〜11の費用が掛からない。1,800 × 160 = 288,000円。
  • (i)= 0269600 設問 一括欄。ココナッツパウダー197,600円とルイボス72,000円の合計269,600円。いずれにも加算すべき費用は無い。
  • (j)= 0240000 通達 レモネード。記9の広告宣伝費800ドルは、関税定率法基本通達4-2(4)により買手が自己のために行う広告宣伝に係る支払で、売手への間接支払に当たらないので加算しない。1,500 × 160 = 240,000円。