第1部 現実支払価格と課税価格

論点1B 値引き・相殺・価格調整

判断課題

仕入書の「値引後価格」は、そのまま採用できるか。

原則

当該輸入取引の数量、品質、商慣行等に基づく価格形成として認められる値引きと、別取引の債権債務を相殺しただけの値引きを分ける。価格調整条項がある場合は、あらかじめ合意された客観的な計算式と確定事実に従った調整後価格を基礎にする。

仕入書の値引き
├─ 今回の貨物価格そのものを形成する → 値引後価格を基礎
└─ 別取引の債権債務を決済するだけ   → 相殺額は価格判断から消えない

支払額が減ったのか、貨物価格が下がったのかを分ける。

値引後の価格を基礎にする事例 値引分を現実支払価格へ算入する事例
契約数量1万個に応じた数量値引きが、今回の売買価格として契約時に確定している。 過去の別貨物の違約金100万円を相殺するため、今回の仕入書から100万円を差し引いた。
成分含有量に応じる価格調整式が契約前から定まり、分析結果により価格が下がった。 根拠資料のない「特別値引き」で、通常価格との差の理由を説明できない。

結論を分ける事実

値引きが今回の輸入貨物の価格そのものを形成するか、別の債権債務を決済する手段か。

典型的なひっかけ――誤った考え方

「現金で支払った額だけが現実支払価格」という思い込みにより、相殺値引きを見落とす誤り。現金支出が少なくても、売手に対する別の債権を放棄して決済した部分は価格判断から消えない。

ミニドリル

通常単価1万円の貨物100個。過去取引の損害賠償金20万円を相殺し、仕入書は80万円となった。現実支払価格はいくらか。

解答

100万円。今回の貨物価格を20万円値下げしたのではなく、別取引の債権を相殺したため、相殺額を現実支払価格へ算入する。