第1部 現実支払価格と課税価格
論点1D 輸入港までの運賃・保険料・運送関連費用
判断課題
FOB価格の貨物に、運賃、保険料、船卸し費用、国内配送費がある。どこまで課税価格に算入するか。
原則
輸入貨物が輸入港に到着するまでの運賃、保険料、その他運送に関連する費用は法定加算要素に該当し、現実支払価格に含まれていない額を加算する [加算]。「到着」は、単に港域へ入る時ではなく、船卸し等ができる状態になる時をいう。輸入港到着後の費用は、支払総額に含まれていても額が明らかなら現実支払価格に算入しない [別1]。
課税価格に算入する事例 [加算] |
課税価格に算入しない事例 [別1] |
|---|---|
| 工場から輸出港までの内陸運賃、輸出港から本邦輸入港までの海上運賃。 | 本邦輸入港から輸入者の国内倉庫までの運賃で、額が明らかなもの。 |
| 海上保険料、運送中の取扱費、積替港の運送関連費用。 | 輸入港到着後だけを対象とする国内保険料で、額が明らかなもの。 |
結論を分ける事実
費用の対象区間と、輸入港到着までの運送との関連。支払先が売手か運送会社かは決定打ではない。
典型的なひっかけ――誤った考え方
- CIF価格へ海上運賃・保険料を再度加える二重加算の誤り。
- 「FOB以後の費用だけを加算する」という思い込みにより、輸出国の工場から輸出港までの運賃を見落とす誤り。
- 異常な運賃は常に全額加算すると決めつける。天災・港湾スト等、責めに帰し難い特殊事情により通常額を著しく超えた場合には、通常必要な額を用いる規定がある。
- 保険を付していない貨物にも通常の保険料を見積加算するという誤り。保険料は実際に要した額であり、付されていなければ見積計上しない。
無保険なら、架空の保険料を足さない。
ミニドリル
FOB価格500万円、海上運賃40万円、海上保険料5万円、輸入港から国内倉庫までの明確な運賃8万円。他の加算要素なし。課税価格はいくらか。
解答
545万円。輸入港到着後の国内運賃8万円は額が明らかなため、現実支払価格に算入しない [別1]。
航空運送貨物の特例
替えるのは運賃・保険料だけ。貨物価格は替えない。
航空機で運送された貨物のうち法定の類型に該当するものは、運賃・保険料を、航空機による運送方法以外の通常の運送方法による額で計算する(関税定率法4条の6第1項、同法施行令1条の13)。
法定の対象類型か
├─ いいえ → 実際の航空運賃・保険料を使う
└─ はい
├─ 金額要件のある類型で、基準額を超える → 実際額を使う
└─ 要件を満たす → 通常の運送方法による運賃・保険料へ置換
| 対象類型 | 金額要件・追加条件 |
|---|---|
| 無償の見本 | 航空運賃・保険料に基づく課税価格の総額が20万円以下。 |
| 救助・衛生等のため緊急輸入する貨物 | 緊急に輸入する必要があると認められるもの。 |
| ニュース用物品 | 日刊新聞掲載用、ニュース映画上映用又は放送用の写真・フィルム・テープや、新聞の紙型。 |
| 修繕品・取替品 | 修繕又は取替えのため無償で輸入されるもの。 |
| 航空運送事業者の用品 | 自己の事業に使用する航空機で輸入する航空機用品・整備用品・事務用品。 |
| 船舶等から航空へ変更した貨物 | 輸入者の責めに帰し難い遅延があり、輸入者以外の者が変更費用を負担。 |
| 個人的使用の寄贈品 | 航空ベースの課税価格総額が10万円以下。 |
| 携帯品・別送品・引越荷物 | 航空ベースの課税価格総額が20万円以下。 |
無償見本等の金額判定では、まず実際の航空運賃・保険料を含めた課税価格を求める。基準額以下と確認できてから、運賃・保険料だけを通常運送額へ置き換える。有償の見本や基準額を超える貨物には、この置換えを行わない。
航空特例ドリル
A:無償の見本。同種貨物の取引価格による価格13万円、航空運賃6万円、航空保険料5,000円。船舶による通常の運賃1万円、通常の保険料2,000円。B:同じ条件で価格だけ15万円の見本。それぞれの課税価格はいくらか。
解答
| 事例 | 航空ベースで判定 | 適用 | 課税価格 |
|---|---|---|---|
| A | 130,000+60,000+5,000=195,000円 | 特例あり | 130,000+10,000+2,000=142,000円 |
| B | 150,000+60,000+5,000=215,000円 | 特例なし | 215,000円 |