第1部 現実支払価格と課税価格
論点1E 倉庫料――「輸入前だから加算」ではない
判断課題
輸出国・積替国・本邦で生じた倉庫料は、どれを算入するか。
原則
倉庫料は、場所の名前だけでなく、引渡しの前後と輸入港までの運送との関連で判定する。
| 課税価格に算入する事例 | 課税価格に算入しない事例 |
|---|---|
売買条件上、売手から買手へ引き渡される前に輸出国で保管され、買手が費用を負担する。現実支払価格を構成する [価格]。 |
売手から引渡しを受けた後、買手が自己の販売時期を調整するため輸出国で任意に保管し、運送との関連もない。法定加算要素に該当しない [別2]。 |
積替えのため運送途上で一時保管され、輸入港までの運送に関連する費用である。法定加算要素に該当する [加算]。 |
輸入港到着後、国内倉庫で販売まで保管し、その額が明らかである。支払総額に含まれる場合も現実支払価格に算入しない [別1]。 |
結論を分ける事実
- 取引条件上の引渡し時点。
- 買手が自己のために保管したのか。
- 輸入港までの運送に不可欠・関連する保管か。
典型的なひっかけ――誤った考え方
- 「外国で発生した費用は加算、国内で発生した費用は非加算」という思い込み。
- 「引渡し後の倉庫料は常に非加算」という思い込みにより、積替え保管等の運送関連費用を見落とす誤り。
- 売手が一旦立て替えたという支払経路だけで結論を決める誤り。
ミニドリル
A:売手の責任で引渡し前に輸出国倉庫へ10日保管し、契約により買手が5万円を負担した。B:引渡し後、買手が国内需要を待つため同国で任意に10日保管し、運送とは無関係な5万円を負担した。どちらを算入するか。
解答
Aは現実支払価格を構成するため課税価格に算入する [価格]。Bは法定加算要素に該当せず、課税価格に算入しない [別2]。期間も国も同じだが、引渡し時点と保管目的が違う。