第1部 現実支払価格と課税価格

論点1F 手数料――名目でなく代理関係を見る

第60回(令和8年)対応|法令・告示・通達の基準日:2026年7月1日

判断課題

請求書に commission とある。買付手数料として非加算にできるか。

原則

輸入取引に関して買手が支払う仲介料その他の手数料は法定加算要素に該当するが、当該輸入貨物の買付けに関し買手を代理する者へ、その買付業務の対価として支払う真正な買付手数料は該当しない。名称ではなく、代理人の役割、管理、計算、危険負担を実態で判断する。加算するのは買手が負担する手数料であり、売手が自己の販売代理人等へ支払う手数料は買手の負担ではないため、これを別に加算することはない。除外されるのは輸入貨物そのものの買付けを代理させた対価に限られ、買手が売手へ無償提供する材料・部分品の調達を代理させた手数料はこれに当たらない(提供物品の取得費用として加算する。論点1H)。

commission は結論ではない。誰の代理人かが結論を分ける。

課税価格に算入する事例 [加算] 課税価格に算入しない事例 [別2]
仲介者が売手・買手双方のために契約成立を仲介し、買手が手数料を払う。 買付代理人が買手の管理下で供給者探索、見本収集、検査・付保・運送・引渡しの手配、決済の代行、クレーム処理交渉を行い、その対価を買手が払う。
販売代理人が売手の管理・危険負担の下で買手探索、受注、引渡手配を行う。 買手の決済を代行する真正な買付代理人への代理業務対価。
買手が、売手に代わって業務を行う者へクレーム処理交渉の対価を支払う。 買手の管理・計算・危険負担の下でクレーム処理交渉を行う買付代理人への対価。
— 売手が自己の販売代理人へ支払う販売手数料(買手の負担ではない)。

結論を分ける事実

誰の管理下で、誰の計算・危険負担により、何をしているか。契約書の「buying agent」という表題だけでは足りない。

典型的なひっかけ――誤った考え方

ミニドリル

甲は買手の指示で供給者を探し、見本を集め、契約権限を持たず、費用・危険は買手が負担する。買手は甲へ仕入額の3%を支払う。乙は売手の指示で日本の顧客を開拓し、買手から2%を受け取る。どちらを加算するか。

解答

甲の3%は真正な買付手数料で法定加算要素に該当せず、課税価格に算入しない [別2]。乙の2%は販売代理人への手数料として法定加算要素に該当し、現実支払価格に含まれていない額を加算する [加算]。