第1部 現実支払価格と課税価格

論点1H 無償・値引提供――材料、工具、消耗品

判断課題

買手が売手へ無償提供したものは、何でも加算するか。

原則

輸入貨物の生産及び輸入取引に関連して、買手が無償又は値引きして直接・間接に提供した次の物品等に要する費用は加算する。

課税価格に算入する事例 [加算] 課税価格に算入しない事例 [別2]
衣類に組み込まれる生地を無償提供する。 売手の一般事務用プリンターを贈り、生産との関連がない。
今回の部品生産専用の金型を無償提供する。 買手が国内販売店へ展示什器を無償提供する。
生産工程で消費する触媒を値引提供する。 買手が自己のために輸入後の市場調査を行う。

結論を分ける事実

買手による提供、無償又は値引き、輸入貨物の生産・輸入取引との関連という三点を確認する。工具は貨物へ物理的に組み込まれなくても対象になり得る。

典型的なひっかけ――誤った考え方

ミニドリル

買手が100万円で取得した金型を無償提供した。金型は合計1万個の生産に使用され、今回2,000個を輸入する。使用量に比例する配賦が合理的で、取得後の提供運賃等はない。今回の加算額はいくらか。

解答

20万円。100万円×2,000個÷1万個。全額を今回へ加算しない。

委託加工貿易の型

加工賃だけの仕入書でも、課税価格は加工賃だけではない。

買手(委託者)が外国の受託者へ原材料を無償提供し、加工賃を支払って加工後の製品を輸入する場合は、加工賃を対価とする委託者(買手)・受託者(売手)間の売買とみなし、輸入取引として扱う。

課税価格 = 加工賃 [価格] + 無償提供した材料等の費用 [加算] + 輸入港までの運賃等 [加算]

無償提供した物品・役務の評価額は、入手経路で分ける。

入手経路 費用の基礎 共通して加えるもの
買手が自ら生産・開発したもの 生産・開発に要した費用 提供のための運賃等
特殊関係者から直接取得・提供を受けたもの 生産・開発に要した費用 提供のための運賃等
上記以外 取得・提供を受けるために通常要する費用 提供のための運賃等

委託加工ドリル

買手は、特殊関係のない国内業者から150万円で取得した生地を外国の縫製業者へ無償提供し(提供運賃10万円)、加工賃300万円を支払って全量を製品として輸入した。海上運賃・保険料は20万円。他の要素はない。課税価格はいくらか。

解答

300万円 [価格] +(150万円+10万円)[加算] + 20万円 [加算]480万円