第1部 現実支払価格と課税価格
論点1J 検査費・法定表示・広告宣伝
判断課題
検査費やラベル費、広告費は、売手にも利益があるなら加算するか。
原則
買手が自己のために行う検査、広告宣伝、販売促進、アフターサービス等は、法定の加算要素に該当しない限り、売手の利益にもなるというだけで間接支払にならない。一方、売手が行うべき製造上の検査を買手が代行し、その費用が売手のための支払となる場合や、加算対象の無償提供物品に該当する場合は別である。
売手にも利益がある ≠ 売手のための支払。義務と活動主体を確認する。
| 課税価格に算入する事例と経路 | 課税価格に算入しない事例と理由 |
|---|---|
契約上売手が負担すべき出荷前検査を買手が代払いする。現実支払価格を構成する [価格]。 |
買手が自己の品質確認のため、独立検査会社へ任意検査を依頼する。買手の自己活動である [別2]。 |
商品ロゴ等を含むラベルを買手が無償提供し、貨物に組み込ませる。法定加算要素に該当する [加算]。 |
本邦法令で義務付けられた事項だけを表示するラベルを無償提供する。法定加算要素に該当しない [別2]。 |
売手の債務である販促費を買手が売手のために負担する。現実支払価格を構成する [価格]。 |
買手が自己の計算・危険負担で国内広告を行う。売手にも反射的利益があるだけで、間接支払でも法定加算要素でもない [別2]。 |
結論を分ける事実
誰の契約上の義務・活動か、買手が自己のために行う活動か、物品提供が法定加算要素に入るか。
典型的なひっかけ――誤った考え方
「売手の利益になる費用はすべて加算する」という思い込み。利益の有無と、売手のための間接支払かは同じではない。
ミニドリル
買手が船積前に二つの検査を行った。Aは売買契約上売手が行う品質検査を買手が代行して10万円を負担。BはAとは別に、買手が自社基準確認のため任意に5万円を負担。加算額はいくらか。
解答
10万円。Aは売手のための支払として現実支払価格を構成する [価格]。Bは買手が自己のために行う活動で、他の法定加算要素に該当しないため課税価格に算入しない [別2]。