第7部 通関業法の論点

論点7Q 罰則・両罰――刑の重さは行為の型で決まる

第60回(令和8年)対応|法令・告示・通達の基準日:2026年7月1日

過去問実績: 第54〜59回で6問(6回)。主な根拠条文: 通関業法第41条〜第45条。

判断課題

その違反行為がどの罰条に当たり、法定刑はどれか。あわせて、行為者だけが罰せられるのか、法人等にも罰金刑が科されるのか。

原則

法定刑は行為の型に応じて四段階に整理される。①1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(通関業法第41条第1項): 偽りその他不正の手段による許可・営業所新設許可の取得、無許可営業および許可条件により限定された種類以外の貨物についての営業、秘密の漏えい・盗用、通関業務の停止処分違反。このうち秘密漏えい罪は、告訴がなければ公訴を提起できない親告罪である(同条第2項)。②6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(通関業法第42条): 不正手段による確認、従業停止・従業禁止処分違反。③50万円以下の罰金(通関業法第43条): 業務改善命令違反、報告の懈怠・虚偽報告・質問への不答弁・虚偽答弁・検査の拒否妨害忌避。④30万円以下の罰金(通関業法第44条): 通関業者の名義貸し、通関士の名義貸し、名称の使用制限違反。そして第45条の両罰規定は、行為者を罰するほか法人または人にも各本条の罰金刑を科すが、条文が対象から外している三つがある。

両罰規定(通関業法第45条)が及ぶ違反 行為者だけが罰せられる違反
不正手段による許可・営業所新設許可の取得(通関業法第41条第1項第1号) 秘密の漏えい・盗用(通関業法第41条第1項第3号)
無許可営業・許可条件に反する貨物についての営業(通関業法第41条第1項第2号) 従業停止・従業禁止処分に違反して通関業務に従事した行為(通関業法第42条第2号)
通関業務の停止処分違反(通関業法第41条第1項第4号)、不正手段による確認(通関業法第42条第1号) 通関士の名義貸し(通関業法第44条第2号)
業務改善命令違反・報告拒否等(通関業法第43条)、通関業者の名義貸し(通関業法第44条第1号)、名称の使用制限違反(通関業法第44条第3号) —

結論を分ける事実

  1. 行為が許可・営業そのものに関わるか(通関業法第41条)、確認・従業資格に関わるか(通関業法第42条)、行政の監督手段に関わるか(通関業法第43条)、名義・名称に関わるか(通関業法第44条)。
  2. 秘密漏えいかどうか(親告罪であり、両罰の対象外)。
  3. 違反行為が法人等の業務に関して代表者・従業者等によりされたものか。

典型的なひっかけ――誤った考え方

ミニドリル

A:通関業者X社(法人)の代表者甲が、X社の業務に関し、財務大臣の業務改善命令に従わなかった。B:X社の通関士乙が、通関業務に関して知り得た依頼者の秘密を第三者に漏らした。それぞれどのように処罰されるか。

解答

Aは、第43条第1号により甲に50万円以下の罰金が科される。さらに第45条は第43条を両罰の対象に含めているため、X社にも50万円以下の罰金刑が科される。Bは、第41条第1項第3号により乙に1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される。ただし同条第2項により告訴がなければ公訴を提起できず、また第45条は第41条第1項のうち第3号を除いているため、X社が両罰で処罰されることはない。刑の重さと両罰の可否は別々に判断する。

最低限おさえる型

型=無許可営業・秘密漏えい・停止処分違反:1年/100万、不正確認・従業処分違反:6月/50万、改善命令違反・報告拒否等:50万、名義貸し・名称冒用:30万。秘密漏えいは親告罪かつ両罰外、通関士の名義貸しと従業処分違反も両罰外。