第5部 分類・EPA・通関手続

論点5A 関税率表の所属――類の知識

第60回(令和8年)対応|法令・告示・通達の基準日:2026年7月1日

過去問実績: 第54〜59回で18問(6回・毎回3問)。主な根拠: 関税定率法別表(関税率表)、関税率表の解釈に関する通則、部注・類注、関税率表解説・分類例規。

判断課題

「次の物品のうち関税率表第◯類に属するものはどれか」。その物品を、何でできているか(材質)で決めるか、何をするものか(用途・機能)で決めるか。

原則

関税率表の類は、材質で括る類と用途・機能で括る類が混在している。用途で括る類に特掲があれば、材質の類には落ちない。食品はさらに「加工度」という第三の軸で類が動く。個別の類の中身は当サイトのHS分類チートシートに一覧化してあるので、暗記はそちらで行い、ここでは軸だけを固定する。

用途・機能で類が決まる 材質で類が決まる
84・85類(機械・電気機器)、90〜92類(精密機器・時計・楽器)、94〜96類(家具・がん具・雑品)、64〜66類(履物・帽子・傘)。 39〜43類(プラスチック・ゴム・革・毛皮)、44〜46類(木・コルク)、50〜60類(繊維素材・布)、68〜70類(石・陶磁・ガラス)、72〜83類(卑金属)。
プラスチック製のいすは39類ではなく94類、革製の玩具は42類ではなく95類。 プラスチック製の食卓用品・台所用品は39類、ガラス製のコップは70類。

第54〜59回の出題ゾーンには明確な偏りがあり、機械・電気機器(85類7問・84類5問)が最多、次いで食品(1〜24類)、繊維(50〜63類)、身の回り品(39〜42類、94〜96類)である。97類の内容を同じ密度で暗記する必要はなく、まずこの4ゾーンの「境目」を重点学習し、その後21部97類の全体マップで未学習範囲を確認するのが効率的である。

結論を分ける事実

  1. 用途で括る類にその物品が特掲されているか。特掲があれば材質の類は使わない。
  2. 84類(機械的機能)か85類(電気的機能)か。電気で動くことは85類の理由にならない。
  3. 食品では加工の程度。乾燥・単なる水煮までは原材料の類、味付け・油調理等の調製をすれば16類・20類等へ移る。
  4. 部注・類注の除外規定。表題ではなく注が結論を決める。

典型的なひっかけ――誤った考え方

ミニドリル

A:プラスチック製の乳幼児用ハイチェア(いす)。B:プラスチック製の弁当箱。それぞれ関税率表第何類に属するか。

解答

A:94類。いす(腰掛け)は材質を問わず家具の類に特掲されており(9401)、プラスチック製であっても39類には落ちない。B:39類。食卓用品・台所用品は用途で括る類に特掲がないので、材質どおりプラスチック製品(3924)となる。素材は同じでも、用途で括る類に受け皿があるかどうかで結論が割れる。

最低限おさえる型

候補探しの着眼点は、まず「何をするものか(用途・機能)」で84・85・94〜96類を疑い、次に「何でできているか(材質)」で類を絞る。ただしこれは探索の順序であって法的な分類順序ではなく、最終的な所属は項の規定と部注・類注を起点に通則の順序(論点5B)で決定する。