第5部 分類・EPA・通関手続
論点5B 関税率表の解釈に関する通則の適用――番号順に一方通行
第60回(令和8年)対応|法令・告示・通達の基準日:2026年7月1日
過去問実績: 第54〜59回で独立問1問(第57回)。ただし第2科目(関税法等)でも通則の正誤問題がほぼ毎回1問出ており、実質は毎年出題である。主な根拠: 関税率表の解釈に関する通則1〜6。
判断課題
具体的な物品を与えられて、どの通則により所属を決定するか。特に、通則3(a)で止まるのか、3(b)へ進んでよいのかを分ける。
原則
通則は1→2→3→4の順で一方通行に適用し、前の通則で決まるなら後の通則へは進まない。部・類・節の表題は単なる参照であり、所属は項の規定と部注・類注により決定する(通則1)。容器・包装は5、号(6桁)の決定は6が受け持つ。頻出は未完成品・未組立品(2(a))、小売用セット・混合物(3(b))、専用ケース・包装容器(5)の三つである。
| 通則3(a)で決まる | 通則3(b)へ進む |
|---|---|
| 競合する項の一方が、その物品全体をより特殊に限定して記載している。 | 2以上の項がそれぞれ物品の材料・構成要素の一部のみを記載しており、等しく特殊とみなされる。 |
| 電気かみそりは「電気機械」ではなく「ひげそり器(8510)」へ。 | 小売用にセットにした物品や混合物は、重要な特性を与える構成要素の項へ。 |
| ここで決まる以上、重要な特性の比較には入らない。 | 3(b)でも決まらないときに限り、等しく考慮に値する項のうち数字上最後の項(3(c))へ。 |
結論を分ける事実
- 提示の際に完成した物品としての重要な特性を有するか(通則2(a))。
- 競合する項が物品の全体を記載しているか、一部だけを記載しているか。
- 容器が中身とともに提示され通常中身とともに販売されるか、反復使用に適することが明らかか(通則5)。
典型的なひっかけ――誤った考え方
- 通則2(a)の未完成品を、輸入後に部品を加えて完成する予定かどうかで判断する誤り。判断は「提示の際に」重要な特性を有するかである。
- 通則3(a)で決まる物品について、なお重要な特性(3(b))を比べようとする誤り。(a)で決まるなら(b)には進めない。
- 通則5(a)の専用ケース(楽器ケース・カメラケース等)を無条件に中身へ含める誤り。ケース自体が全体に重要な特性を与えるものは除かれる。
- 通則5(b)の包装材料・包装容器を無条件に中身へ含める誤り。反復使用に適することが明らかなものは除かれる。
- 通則6を項(4桁)の決定に使う誤り。6は号(6桁)の規定であり、比較できるのは同一の水準にある号同士だけである。
- 部・類の表題から所属を決める誤り(通則1)。
ミニドリル
A:バイオリンとともに提示され、通常バイオリンとともに販売される専用のバイオリンケース。B:中に充填したガスとともに提示される、反復使用に適することが明らかな鋼製のガスボンベ。それぞれ中身と一緒に分類するか。
解答
A:通則5(a)により、中身であるバイオリン(92類)に含めて分類する。長期間の使用に適し、専用に製作され、中身とともに提示・販売されるという要件をすべて満たすからである。B:通則5(b)のただし書により、反復使用に適することが明らかな包装容器は中身とともに分類しない。ボンベは中身のガスとは別に、鋼製品(73類)として所属を決める。どちらも「容器」だが、専用性と反復使用性で結論が割れる。
最低限おさえる型
通則1(項の規定と部注・類注)→2→3(a)→3(b)→3(c)→4の順に一方通行。容器・ケースは5、号の決定は6。