第5部 分類・EPA・通関手続

論点5C EPA・原産地規則の当てはめ――非原産材料だけを追う

第60回(令和8年)対応|法令・告示・通達の基準日:2026年7月1日

過去問実績: 第54〜59回で5C・5D合わせて19問(6回・毎回3〜4問)。うち原産地規則の当てはめは毎回1〜2問。主な根拠: 各経済連携協定の品目別原産地規則(関税分類変更基準・付加価値基準)・累積規定・積送基準。

判断課題

品目別規則と生産・材料の明細を与えられ、その貨物が締約国の原産品となるかを判定する。判定の対象はどの材料か、比べる分母は何か。

原則

産品が締約国原産品となる経路は、①完全生産品、②締約国の原産材料のみから生産される産品、③非原産材料を使用しても品目別原産地規則(PSR)を満たす産品、の三つである。試験で計算させるのは③であり、PSRは関税分類変更基準か付加価値基準(または両者の選択)で書かれている。

関税分類変更基準(CTC) 付加価値基準(RVC・VA)
非原産材料のHS番号が、産品のHS番号と所定の桁で異なることを求める。CC=類(2桁)の変更、CTH=項(4桁)の変更、CTSH=号(6桁)の変更。 産品の価額に占める域内原産割合が基準値以上であることを求める。控除方式では RVC=(FOB価額−非原産材料の価額)÷FOB価額×100。
判定の対象は非原産材料だけである。原産材料はHS番号が産品と同じでも支障がない。 分母は産品のFOB価額であり、輸入貨物の課税価格(CIF)ではない。控除するのは非原産材料の価額だけである。
基準を満たさない非原産材料があっても、その価額が産品のFOB価額の一定割合(多くの協定で10%)以下であれば、僅少の非原産材料(デミニミス)の規定で救済され得る。 デミニミスは関税分類変更基準の救済であり、付加価値基準の不足を埋めるものではない。

これに加えて、締約相手国の原産材料(協定によっては生産行為も)を自国のものとみなす累積、第三国では税関の監督下の積替え・一時蔵置等しか認めない積送基準、そして単なる希釈・詰替え・仕分け・ラベル貼付け・洗浄等の軽微な作業では原産性が生じないという原則が、答を反転させる装置として使われる。

結論を分ける事実

  1. 各材料が原産材料か非原産材料か。累積を使えば原産材料に転じるものがないか。
  2. 求められている変更がCC・CTH・CTSHのどれか。
  3. 付加価値基準の分母がFOB価額か、控除額が非原産材料の価額に限られているか。
  4. 第三国を経由したか。経由地で積卸し・保存以外の作業がされていないか。

典型的なひっかけ――誤った考え方

ミニドリル

品目別規則が「他の項の材料からの変更(CTH)」である産品について、非原産材料は産品と同じ項に属する材料1点だけで、残りはすべて締約国の原産材料である。A:その非原産材料の価額が産品のFOB価額の6%。B:同じく18%。デミニミスの基準を10%として、それぞれ原産品となるか。

解答

A:非原産材料が産品と同じ項に属するのでCTHは満たさない。しかしその価額はFOB価額の6%で10%以下だから、僅少の非原産材料の規定により原産品となる。B:同じ理由でCTHを満たさず、18%は10%を超えるためデミニミスの救済も受けられないので原産品とならない(その品目に付加価値基準の選択が認められているなら、そちらで改めて判定する)。いずれの場合も、原産材料の側はHS番号が産品と同じでも判定に影響しない。

最低限おさえる型

①各材料を原産/非原産に仕分け(累積を使えるか確認)→②非原産材料だけに品目別規則(CTC/RVC)を当てる→③満たさなければ僅少の非原産材料(デミニミス)の救済を確認→④最後に積送基準を確認。