第6部 関税法等の制度論点
論点6A 用語の定義――外国貨物と内国貨物
第60回(令和8年)対応|法令・告示・通達の基準日:2026年7月1日
過去問実績: 第54〜59回で4問(4回)。主な根拠条文: 関税法第2条。
判断課題
目の前の貨物が外国貨物か内国貨物か、そして輸入許可前の使用・消費が「みなし輸入」に当たるかを、定義の言い回しから正確に判定する。
原則
外国貨物と内国貨物は、関税法第2条第1項の定義どおり「許可の段階」と「採捕した船舶の国籍」で機械的に振り分ける。輸入とは、外国から本邦に到着した貨物(外国の船舶により公海で採捕された水産物を含む)又は輸出の許可を受けた貨物を本邦に引き取ることであり、輸出とは内国貨物を外国に向けて送り出すことである。
| 外国貨物 | 内国貨物 |
|---|---|
| 輸出の許可を受けた貨物(まだ本邦の港にあっても外国貨物)。 | 本邦にある貨物で外国貨物でないもの。 |
| 外国から本邦に到着した貨物で輸入が許可される前のもの(保税地域の内外を問わない)。 | 輸入の許可を受けた貨物。 |
| 外国の船舶により公海で採捕された水産物。 | 本邦の船舶により公海で採捕された水産物。 |
公海で採捕された水産物には、本邦・外国の排他的経済水域の海域で採捕された水産物を含む(関税法第2条第2項)。また、外国貨物が輸入される前に本邦で使用・消費されると、その使用・消費する者がその時に当該貨物を輸入したものとみなされる(みなし輸入、第2条第3項)。保税地域において関税法により認められたところに従ってされる使用・消費その他政令で定める場合は除かれる。
結論を分ける事実
- 輸出許可・輸入許可がどの段階まで進んでいるか(所在場所ではなく許可の有無で決まる)。
- 水産物であれば、採捕した船舶が本邦の船舶か外国の船舶か(採捕海域が公海かEEZかは結論を変えない)。
- 使用・消費が保税地域内で関税法により認められたもの(見本の一時持出など)か。
典型的なひっかけ――誤った考え方
- 「本邦の港にある貨物は内国貨物」という思い込み。輸出の許可を受けた貨物は、船積み前でも外国貨物である。
- 公海採捕の水産物を海域で判定する誤り。分けるのは船舶の国籍であり、排他的経済水域の海域での採捕も「公海で採捕」に含まれる。
- 保税地域で関税法により認められた使用・消費(見本の一時持出など)までみなし輸入に含める誤り。
- 外国貨物を外国へ送り出す「積戻し」を「輸出」と呼ぶ誤り。輸出の定義は内国貨物を送り出すことに限られる(積戻しには第75条で輸出の規定が準用されるにとどまる)。
- なお「附帯税」も第2条の定義語であり、延滞税・過少申告加算税・無申告加算税・重加算税の4つを指す(関税法第2条第1項第4号の2)。
ミニドリル
A:本邦の船舶が外国の排他的経済水域の海域で採捕した水産物を、そのまま本邦に持ち帰った。B:外国の船舶が本邦の排他的経済水域の海域で採捕した水産物が本邦に到着し、輸入許可前である。それぞれ外国貨物か内国貨物か。
解答
Aは内国貨物である。本邦の船舶により公海(EEZ海域を含む)で採捕された水産物は内国貨物と定義され(関税法第2条第1項第4号・第2項)、輸入手続を要しない。Bは外国貨物である。外国の船舶による公海採捕水産物は「外国から本邦に到着した貨物」に含まれ、輸入が許可される前のものは外国貨物となる(関税法第2条第1項第3号・第2項)。海域はどちらもEEZで同じであり、結論を分けたのは船舶の国籍だけである。
最低限おさえる型
外国貨物=「輸出許可済み」+「到着済み・輸入許可前」。水産物は採捕した船の国籍で分ける。使用・消費した者は、その時に輸入したものとみなす。