第7部 通関業法の論点

論点7I 通関士の設置――「営業所ごと」に「必要な員数」

第60回(令和8年)対応|法令・告示・通達の基準日:2026年7月1日

過去問実績: 第54〜59回で6問(6回)。主な根拠条文: 通関業法第13条。

判断課題

その営業所に通関士を置く義務があるか。あるとして、何人置けば足りるか。

原則

通関業者は、通関業務を適正に行うため、その通関業務を行う営業所ごとに、政令で定めるところにより通関士を置かなければならない(通関業法第13条本文)。政令(通関業法施行令第5条)は、通関業務に係る貨物の数量及び種類並びに第6条に規定する通関書類の数、種類及び内容に応じて「必要な員数」の通関士を置くべきものと定める。ただし、当該営業所において取り扱う通関業務に係る貨物が第3条第2項(通関業法第8条第2項において準用する場合を含む)の規定により一定の種類の貨物のみに限られている場合は、この限りでない(通関業法第13条ただし書)。

設置義務がある営業所 設置義務が免除される営業所(通関業法第13条ただし書)
通関業務を行う営業所であり、取扱貨物に許可条件による限定がない 許可条件(通関業法第3条第2項、第8条第2項準用)により取扱貨物が一定の種類のもののみに限られている
員数は貨物の数量・種類、通関書類の数・種類・内容に応じた必要な員数(通関業法施行令第5条)。1名で足りるとは限らない 取扱件数が少ないこと、営業所が小規模であることは免除理由にならない

なお、第14条の審査・記名義務は通関士が通関業務に従事している営業所の業務に限られるため、設置義務が免除され通関士を置かない営業所には及ばない(論点7J)。他方、設置義務違反は第34条の監督処分等の対象であって、許可の消滅事由ではない。

結論を分ける事実

  1. その営業所が「通関業務を行う営業所」か。関連業務のみを行う事務所は対象でない。
  2. 取扱貨物が許可条件によって一定種類に限定されているか。免除はこの一事のみによる。
  3. 貨物の数量・種類と通関書類の数・種類・内容から導かれる必要員数を満たしているか。

典型的なひっかけ――誤った考え方

ミニドリル

A:通関業者の営業所Xは、許可の条件により取扱貨物が生鮮食料品のみに限定されている。B:営業所Yには取扱貨物の限定がなく、月間で数千件の輸入申告書を作成している。それぞれ通関士を何人置く必要があるか。

解答

Aは第13条ただし書により通関士の設置義務が免除されるから、置かないことができる。Bは第13条本文の義務が及び、施行令第5条により貨物の数量・種類と通関書類の数・種類・内容に応じた必要な員数を置かなければならないから、1名を置けば足りるとはいえない。取扱量の多寡は免除の根拠にならず、逆に員数を押し上げる要素として働く。

最低限おさえる型

通関業務を行う営業所ごとに、政令の基準による必要な員数を設置。免除は「許可条件で貨物の種類が限定された営業所」のみ。違反は監督処分であって許可消滅ではない。