第7部 通関業法の論点

論点7M 記帳・届出・報告――「何を・誰に・いつ」の三本柱

第60回(令和8年)対応|法令・告示・通達の基準日:2026年7月1日

過去問実績: 第54〜59回で12問(6回・最多タイ)。主な根拠条文: 通関業法第22条、通関業法施行令第8条〜第10条。

判断課題

問題文が第22条のどの項の話かを見分け、そのうえで保存期間・提出先・頻度が条文どおりかを判定する。

原則

第22条は、帳簿・書類(第1項)、従業者等の届出(第2項)、定期報告(第3項)の三本柱からなり、細目はいずれも施行令が定める。第1項の「通関業務」には第7条の関連業務が含まれる点が定番のひっかけである。

帳簿・書類(第1項・令第8条) 届出・報告(第2項・第3項、令第9条・第10条)
帳簿は通関業務を行う営業所ごとに設け、業務の種類に応じた取扱件数と受ける料金を記載する 従業者等の届出は、通関業務を担当する役員(法人の場合)、営業所の責任者、通関士、その他の通関業務の従業者に区分し、役員以外は各営業所ごとに行う
さらに一件ごとに、依頼者の氏名・名称、貨物の品名および数量、書類の提出年月日、受理番号、料金の額等を記載する。この一件別の明細は、保管する申告書等の写しへの追記で代えられる(通関業法施行令第8条第4項) 届出の時期は、新たに置かれた場合、その者でなくなった場合、区分の間に異動があった場合の「そのつど」。新たに置かれた者については履歴書等を添付する
保存すべき書類は3種。①税関官署または財務大臣に提出した申告書・申請書・不服申立書等の写し、②依頼を受けたことを証する書類、③料金の受領を証する書類の写し 定期報告は、毎年4月1日から翌年3月31日までの間に終了する事業年度(個人である通関業者は暦年)を報告期間とし、その期間の末日である3月31日が属する年の6月30日までに報告書を提出する。3月決算であれば決算日と同年の6月30日が期限となる
保存期間は、帳簿がその閉鎖の日後3年間、書類がその作成の日後3年間 記載事項は取扱件数・料金の額のほか、支出の総額とその内訳、報告期間末日の資産の明細等。法人は貸借対照表・損益計算書を添付する

届出・報告の提出先はいずれも条文上「財務大臣」である(通関業法施行令第14条により実際の権限行使は税関長に委任されているが、条文の主語を問う出題では財務大臣が正解)。

結論を分ける事実

  1. 第1項(帳簿・書類)、第2項(届出)、第3項(報告)のどれか。
  2. 保存期間の起算点が「閉鎖の日」か「作成の日」か。
  3. 頻度が「そのつど」か「毎年1回」か。
  4. 対象に関連業務が含まれるか。

典型的なひっかけ――誤った考え方

ミニドリル

A:3月決算の通関業者が令和8年3月31日に事業年度を終え、同年4月10日に帳簿を閉鎖した。この帳簿の保存期限と、当該事業年度に係る定期報告書の提出期限は。B:同年5月1日に営業所の通関士1名が退職し、6月1日に別の従業者が新たに通関業務に従事することとなった。届出はどうするか。

解答

Aについて、帳簿は施行令第8条第3項により閉鎖の日後3年間、すなわち令和11年4月10日まで保存する。書類の3年は「作成の日」起算であり、起算点が違う点に注意する。定期報告書は施行令第10条第1項により令和8年6月30日までに財務大臣へ提出し、法人であれば当該事業年度の貸借対照表および損益計算書を添付する。Bについて、第22条第2項・施行令第9条により、退職時と新規従事時のそのつど、区分ごとに届出書を提出する。まとめて年1回とすることはできず、新たに置かれた者については履歴書等を添付する。

最低限おさえる型

帳簿=営業所ごとに設け閉鎖後3年、書類(申告書等の写し・依頼を証する書類・料金受領書の写し)=作成後3年、いずれも関連業務込み。従業者の届出=区分ごと・営業所ごと・そのつど。定期報告=年1回・翌年6月30日まで・財務大臣へ。