第6部 関税法等の制度論点
論点6C 適用法令の日――改正が申告と許可の間に挟まったら
第60回(令和8年)対応|法令・告示・通達の基準日:2026年7月1日
過去問実績: 第54〜59回で2問(2回)。主な根拠条文: 関税法第5条。
判断課題
税率改正をまたぐ輸入で、改正前と改正後のどちらの法令(税率)を適用するかを、貨物類型と手続の時系列から決定する。
原則
適用法令は原則として輸入申告の日のものによる(関税法第5条本文)。例外は2系統に限られる。
| 例外 | 適用法令の日 |
|---|---|
| ①第4条第1項第3号・第3号の3〜第8号の例外貨物(場外作業残置・亡失滅却・運送不到着・賦課課税郵便物・公売・無許可輸入等) | その課税物件確定時期の属する日 |
| ②蔵入貨物・保税作業による製品で、輸入申告後・輸入許可前に当該貨物に適用される法令の改正があったもの | 輸入の許可の日(輸入許可前引取り承認貨物は承認の日) |
例外①に、蔵入貨物(第1号)・保税作業製品(第2号)・保税展示場の販売用貨物等(第3号の2)それ自体は掲げられていない。ただし第5条第1号のかっこ書により、これらの貨物が亡失・滅却(第4号)・運送不到着(第5号)等の類型に該当するに至った場合には例外①から除かれず、その確定時期の属する日の法令による。蔵入貨物と保税作業製品は例外②で手当てされており、申告と許可の間に改正が挟まらなければ原則どおり申告の日の法令による。
結論を分ける事実
- 第4条のどの例外類型に当たる貨物か(第1号・第2号・第3号の2はそれ自体としては例外①の対象外だが、亡失等に至れば例外①に取り込まれる)。
- 蔵入貨物・保税作業製品であれば、輸入申告の日と許可(BP承認)の日の間に法令改正が挟まったか。
- 例外②に当たる場合に、輸入許可前引取り(BP)の承認を受ける貨物か(②の基準日が許可の日ではなく承認の日になる)。BP承認を受けたことだけでは適用法令の日は動かず、通常のBP貨物は原則どおり輸入申告の日による。
典型的なひっかけ――誤った考え方
- 課税物件の確定時期(関税法第4条)と適用法令の日(関税法第5条)を同一視する誤り。別の条文であり、蔵入貨物のように「確定時期は蔵入承認の時、適用法令は原則として申告の日」と一致しない類型がある。
- 蔵入貨物の税率改正が申告と許可の間に挟まった場合に「申告の日」の法令とする誤り。正しくは「許可の日」の法令である。
- 例外②のBP承認貨物について許可の日を基準とする誤り。蔵入貨物・保税作業製品で申告後・承認前に改正があった場合、承認を受けて引き取る貨物は「承認の日」の法令による。これに対し、通常のBP貨物は承認を受けても原則どおり輸入申告の日の法令による。
ミニドリル
A:保税蔵置場に置くことの承認を受けて蔵置中の貨物を3月25日に輸入申告し、4月1日に当該貨物の税率が改正され、4月5日に輸入許可された。B:指定保税地域に搬入した貨物について同じ日程(3月25日申告、4月1日改正、4月5日許可)をたどった。それぞれどちらの税率によるか。
解答
Aは改正後の税率による。蔵入貨物で輸入申告後・許可前に法令改正があったから、許可の日(4月5日)の法令が適用される(関税法第5条第2号)。Bは改正前の税率による。指定保税地域の貨物は第5条の例外のいずれにも当たらず、原則どおり輸入申告の日(3月25日)の法令による(関税法第5条本文)。同じ日程でも、貨物が乗っている保税制度で結論が割れる。
最低限おさえる型
原則=輸入申告の日。蔵入貨物・保税作業製品で申告後、許可(BP貨物は承認)前に改正→許可(BP承認)の日。BP承認だけでは適用法令の日は動かない。