第6部 関税法等の制度論点
論点6F 修正申告・更正の請求・更正・決定――誰が・どちら向き・いつまで
第60回(令和8年)対応|法令・告示・通達の基準日:2026年7月1日
過去問実績: 第54〜59回で6問(修正申告・更正の請求5問+更正・決定1問)。主な根拠条文: 関税法第7条の14〜第7条の16。
判断課題
納付税額の誤りを是正する手段を、「納税者側か税関長側か」「増額か減額か」「期間内か」の3軸で選び分ける。
原則
| 納税者側の手続 | 税関長側の手続 |
|---|---|
| 税額が過少なら修正申告(関税法第7条の14)。更正があるまでできる。輸入許可前は申告書面の税額等の補正による。 | 調査に基づき税額等を是正する更正(関税法第7条の16第1項・第3項)。更正通知書の送達で行うが、許可前かつ納付前の減額更正は書面の是正等によることができる。 |
| 税額が過大なら更正の請求(関税法第7条の15)。輸入の許可があるまで、又は許可の日(特例申告貨物は特例申告書の提出期限)から5年以内。 | 納税申告が必要な貨物につき輸入の時(特例申告貨物は提出期限)までに申告がないときは決定(関税法第7条の16第2項)。 |
輸入許可前引取り(BP)の承認を受けた者の更正の請求は、承認の日の翌日から起算して5年を経過する日と輸入の許可の日とのいずれか遅い日までできる。更正の請求を受けた税関長は、調査して更正するか、更正すべき理由がない旨を請求者に通知する。税関長の更正・決定・賦課決定には期間制限があり、法定納期限等から5年を経過した日以後はできず、偽りその他不正の行為により関税を免れた場合等は7年を経過する日までできる(関税法第14条第1項・第4項)。
結論を分ける事実
- 税額が過少(増額方向)か過大(減額方向)か。過少なら修正申告、過大なら更正の請求で、方向が逆の手段は使えない。
- 輸入許可の前か後か(許可前は補正・書面の是正という簡便な形式による)。
- 起算点(許可の日・特例申告書の提出期限・BP承認の日)から5年以内か。
- 既に更正がされていないか(修正申告は更正があるまで)。
典型的なひっかけ――誤った考え方
- 修正申告がいつまでもできるとする誤り。できるのは「更正があるまで」であり、更正後の同一項目についてはできない。
- 更正の請求の期限を「請求の理由を知った日から」起算する誤り。起算は許可の日(特例申告貨物は提出期限)であり、知不知を問わず5年で締まる。
- 更正・決定の期間制限を一律5年とする誤り。偽りその他不正の行為がある場合は7年である(関税法第14条)。
- 更正はすべて更正通知書の送達によるとする誤り。許可前かつ納付前の減額更正に限り、書面の是正等によることができる。
ミニドリル
A:一般の輸入貨物につき、輸入許可の日から4年後に税額の過大に気づいた。B:同種の貨物につき、輸入許可の日から6年後に税額の過大に気づいた。それぞれ救済されるか。
解答
Aは更正の請求ができる。許可の日から5年以内であり(関税法第7条の15第1項)、税関長は調査のうえ減額更正か理由なしの通知をする。Bは更正の請求ができない。5年を経過しており、税関長の職権による減額更正も法定納期限等から5年の期間制限(関税法第14条第1項)にかかるため、原則として救済されない。なお特例申告貨物であれば起算点は許可の日ではなく特例申告書の提出期限である。
最低限おさえる型
不足=修正申告(更正まで)/過大=更正の請求(許可まで又は許可日から5年)。職権是正=更正・決定、期間制限5年(不正7年)。