第6部 関税法等の制度論点
論点6G 納期限・法定納期限と納期限の延長
第60回(令和8年)対応|法令・告示・通達の基準日:2026年7月1日
過去問実績: 第54〜59回で6問(6回)。主な根拠条文: 関税法第9条・第9条の2。
納付の実務フロー(第3科目)は論点5Gで扱う。
判断課題
その関税を「いつまでに納付するか」(納期限)を場面ごとに特定し、延長制度の類型・期間・担保要件を正確に当てはめ、延滞税の起算点である法定納期限と混同しない。
原則
申告納税方式の関税は、原則として申告に係る貨物を輸入する日までに納付する(関税法第9条第1項)。例外の納期限(同条第2項)は場面ごとに定まる。
| 場面 | 納期限 |
|---|---|
| 期限内特例申告書に記載された税額 | 特例申告書の提出期限(輸入許可の日の属する月の翌月末日、第7条の2第2項) |
| 期限後特例申告書に記載された税額 | 当該申告書を提出した日 |
| 輸入許可後の修正申告 | 修正申告をした日 |
| 輸入許可後の更正・決定 | 更正通知書・決定通知書が発せられた日の翌日から起算して1月を経過する日 |
| BP承認貨物(税額等の通知書面・許可前の更正) | これらの書類が発せられた日の翌日から起算して1月を経過する日 |
納期限の延長は3類型ある(関税法第9条の2)。個別延長は申請書の提出と担保の提供により3月以内。包括延長(特定月分)は特定月の前月末日までの申請書提出と担保の提供により、特定月の末日の翌日から3月以内。特例申告に係る延長は提出期限までの申請により2月以内で、特例輸入者は担保が原則不要(関税の保全のために必要があるときに提供を命じられる)だが、特例委託輸入者は担保の提供が要件である。延滞税・還付加算金の計算の基礎となる法定納期限(関税法第12条第9項)は、原則として貨物を輸入する日(許可を受ける貨物は許可の日)であり、納期限が延長された関税は延長後の期限、特例申告貨物は提出期限、BP承認貨物は税額等の通知書面等が発せられた日となる。
結論を分ける事実
- 特例申告か一般の納税申告か(特例申告は提出期限=翌月末日が軸になる)。
- 修正申告・更正・決定が輸入許可の前か後か(BPが絡むか)。
- 延長の類型が個別・包括・特例申告のどれで、担保が「必須」か「命じられ得る」にとどまるか。
- 問われているのが納付手続上の「納期限」か、延滞税の起算点となる「法定納期限」か。
典型的なひっかけ――誤った考え方
- 延長期間の混同。個別・包括はいずれも3月以内(包括は特定月末日の翌日から起算)、特例申告に係る延長だけが2月以内である。
- 担保要件の混同。個別・包括・特例委託輸入者は担保提供が要件、特例輸入者だけが原則不要である。
- 包括延長の申請期限の見落とし。申請書は特定月の前月末日までに提出しなければならない。
- 法定納期限と納期限のすり替え。延長された場合の法定納期限は延長後の期限であり、更正・決定・BPの「発せられた日の翌日から1月」は納期限の話である。
ミニドリル
A:令和8年9月を特定月とする包括延長の承認を受けた。特定月分の関税はいつまで延長され得るか。B:令和8年9月10日に輸入許可を受けた特例申告貨物につき納期限の延長を受けた。いつまで延長され得るか。
解答
Aは12月31日までである。包括延長は特定月の末日(9月30日)の翌日から起算して3月以内だから、10月1日起算で12月31日が限度となる(関税法第9条の2第2項)。Bも12月31日までである。特例申告書の提出期限は許可の日の属する月の翌月末日=10月31日であり(関税法第7条の2第2項)、その延長は2月以内だから12月31日が限度となる(関税法第9条の2第3項)。行き着く日付は同じでも、根拠となる起算点と期間がまったく異なる。
最低限おさえる型
延長=個別3月・包括3月(月末翌日起算)・特例申告2月。更正・決定・BPは「発せられた日の翌日から1月」。