第6部 関税法等の制度論点
論点6H 延滞税――起算は法定納期限、切替は納期限
第60回(令和8年)対応|法令・告示・通達の基準日:2026年7月1日
過去問実績: 第55・56・58回で3問(3回)。主な根拠条文: 関税法第12条。
判断課題
延滞税の計算期間(起算日・割合の切替日・終期)と少額切捨ての基準を正確に当てはめ、免除・控除(除算)の事由に該当するかを判定する。
原則
法定納期限までに関税(附帯税を除く)が完納されない場合、未納の関税額に対し、法定納期限の翌日から納付の日までの日数に応じ年7.3%の延滞税がかかる。ただし納期限の翌日から2月を経過する日の後は年14.6%となる(関税法第12条第1項。いずれも本則で、各年の割合は租税特別措置に相当する特例で軽減される)。延滞税は申告も賦課決定も要せず自動確定する(関税法第6条の2第2項)。
| 計算の局面 | 基準 |
|---|---|
| 起算日 | 法定納期限の翌日(納期限の翌日ではない) |
| 割合の切替 | 納期限の翌日から2月を経過する日まで年7.3%、その後は年14.6% |
| 少額不適用 | 計算の基礎となる関税額が1万円未満なら課されず、1万円未満の端数は切捨て |
| 少額不徴収 | 延滞税額が1,000円未満なら徴収せず、100円未満の端数は切捨て |
免除・控除も頻出である。やむを得ない理由により税額等に誤りがあり税関長の確認があったときは、法定納期限の翌日から修正申告の日・更正通知書等が発せられた日までの延滞税が免除される(関税法第12条第6項)。災害等による納期限延長期間中の延滞税は免除される(同条第7項第2号)。法定納期限から1年を経過する日の後に修正申告・更正がされたときは、1年経過日の翌日から修正申告等の日までの期間を計算日数から控除する(除算期間、同条第10項。偽りその他不正の行為による場合を除く)。
結論を分ける事実
- 法定納期限がいつか(延長・特例申告・BPで動く。論点6G)。
- 納付の日が納期限の翌日から2月を経過する日より前か後か。
- 基礎となる関税額が1万円以上か、延滞税額が1,000円以上か。
- 免除・除算の事由(税関長の確認、災害等による延長、法定納期限から1年経過後の修正申告・更正)に当たるか。
典型的なひっかけ――誤った考え方
- 起算日を「納期限の翌日」とする誤り。起算は常に法定納期限の翌日であり、納期限が基準になるのは14.6%への切替えだけである。
- 延滞税に賦課決定や申告が要るとする誤り。特別の手続を要しないで自動確定する。
- 少額基準の混同。基礎税額1万円未満は「不適用」、延滞税額1,000円未満は「不徴収」であり、加算税の5,000円基準(論点6I)とも別である。
- 1年経過後の修正申告に係る除算を、偽りその他不正の行為がある場合にまで及ぼす誤り。
ミニドリル
輸入許可の日(=法定納期限)が4月10日の貨物につき、6月1日に修正申告(納期限=同日)をして増差税額50万円が確定した。A:7月15日に全額納付した。B:9月15日に全額納付した。延滞税の計算期間と割合はどうなるか。
解答
いずれも起算日は法定納期限の翌日の4月11日である(関税法第12条第1項)。Aは納付日(7月15日)が納期限(6月1日)の翌日から2月を経過する日(8月1日)以前なので、全期間について年7.3%で計算する。Bは4月11日から8月1日までが年7.3%、8月2日から納付の日(9月15日)までが年14.6%となる(同項ただし書)。起算は法定納期限、切替は納期限という2本立てを混ぜないことが核心である。
最低限おさえる型
年7.3%、納期限の翌日から2月経過後は年14.6%。基礎1万円未満は不適用、税額1,000円未満は不徴収。