第6部 関税法等の制度論点
論点6I 過少申告加算税・無申告加算税・重加算税――割合の構造を面で覚える
第60回(令和8年)対応|法令・告示・通達の基準日:2026年7月1日
過去問実績: 第54・58・59回で3問(3回)。主な根拠条文: 関税法第12条の2〜第12条の4。
加算税の計算手順とミニ計算例は論点2Fで扱う。
判断課題
当初申告の有無・是正の時期(調査通知・更正予知との前後)・隠蔽仮装の有無から、どの加算税が何%で課されるかを組み立てる。
原則
| 区分 | 割合の構造 |
|---|---|
| 過少申告加算税(関税法第12条の2) | 増差税額の10%。調査通知前の自主的な修正申告なら課されず、調査通知後・更正予知前なら5%。当初申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分には5%加重。 |
| 無申告加算税(関税法第12条の3) | 納付すべき税額の15%(50万円超の部分20%、300万円超の部分30%)。調査通知前の自主的な期限後特例申告書の提出等なら5%、調査通知後・更正決定予知前なら各割合から5%減。 |
| 重加算税(関税法第12条の4) | 隠蔽・仮装があるとき、過少申告加算税に代えて35%、無申告加算税に代えて40%。併課ではなく「代えて」課す。 |
過去5年以内に無申告加算税等を課されたことがある場合等の繰り返しには、無申告加算税・重加算税に10%の加重がある(関税法第12条の3第4項・第12条の4第4項)。共通ルールとして、正当な理由があると認められる事実に基づく税額には課されず、無申告でも、期限内提出の意思が認められる場合として政令で定める場合に該当し、かつ提出期限から1月を経過する日までに提出された期限後特例申告書には無申告加算税を課さない(関税法第12条の3第7項)。計算の基礎となる税額が1万円未満のときは加算税を課さず、1万円未満の端数は切り捨てる(関税法第12条第3項の準用)。加算税の額が5,000円未満のときは徴収しない(同条第4項の準用・読替え)。
結論を分ける事実
- 当初申告(期限内特例申告書の提出)があるか。あれば過少申告系、なければ無申告系に入る。
- 修正申告・期限後特例申告書の提出が、調査通知の前か、通知後かつ更正予知の前か、予知後か。
- 増差税額が「当初申告税額と50万円のいずれか多い額」(無申告は50万円・300万円)を超えるか。
- 隠蔽・仮装の有無と、過去5年内の無申告加算税等の賦課歴。
典型的なひっかけ――誤った考え方
- 「修正申告をすれば必ず加算税がかかる」という誤り。調査通知前の自主的な修正申告には過少申告加算税は課されない。
- 少額基準の混同。加算税は5,000円未満なら徴収しないのであり、延滞税の1,000円と入れ替えた肢が出る。
- 重加算税を加算税と併課する誤り。重加算税は過少申告加算税・無申告加算税に「代えて」課される。
- 無申告加算税の加重を一律15%のままとする誤り。50万円超の部分は20%、300万円超の部分は30%まで段階的に上がる。
ミニドリル
当初申告税額40万円の貨物につき、課税標準の誤りで納付すべき税額が100万円不足していた(隠蔽・仮装はない)。A:調査通知前に自ら修正申告した。B:税関の調査により更正を受けた。過少申告加算税はいくらか。
解答
Aは課されない。調査通知前にされた自主的な修正申告には過少申告加算税を適用しない(関税法第12条の2第5項)。Bは12万5,000円である。本則10%で10万円、加えて増差税額100万円のうち「当初申告税額40万円と50万円のいずれか多い額」=50万円を超える部分50万円に5%を乗じた2万5,000円が加重される(同条第1項・第2項)。仮に隠蔽・仮装があれば、過少申告加算税に代えて35%の重加算税となる(関税法第12条の4第1項)。
最低限おさえる型
過少10%(+50万円超過部分5%)/無申告15%(50万超20%・300万超30%)/重加算35%・40%。繰り返し+10%、5,000円未満不徴収。