第6部 関税法等の制度論点
論点6J 担保・関税の徴収・還付・還付加算金――担保は限定列挙、還付は金銭で遅滞なく
第60回(令和8年)対応|法令・告示・通達の基準日:2026年7月1日
過去問実績: 第54〜59回で5問(担保1問+徴収・還付等4問)。主な根拠条文: 関税法第9条の11・第10条・第11条・第13条・第14条の2。
判断課題
提供された担保が法定の種類に当たるか、過誤納金の還付加算金がいつから付くか、徴収権はいつ時効消滅するかを、条文の数値どおりに判定する。
原則
関税の担保の種類は、関税法第9条の11が国税通則法第50条を準用して限定列挙する。国債・地方債、税関長が確実と認める社債その他の有価証券、土地、保険を付した建物・立木等、金銭、税関長が確実と認める保証人の保証などである。担保として金銭を提供した納税義務者は、これをそのまま関税の納付に充てることができる(関税法第10条第1項)。担保が提供されているのに完納がないときは担保の処分(国税通則法第52条準用)、担保の提供がなく納期限までに完納されない場合等の徴収は国税徴収の例による(関税法第11条)。
過誤納金は遅滞なく「金銭で」還付しなければならず(関税法第13条第1項)、年7.3%(本則)の還付加算金を加算する(同条第2項)。起算日は過誤納金の生じ方で分かれる。
| 過誤納金の生じ方 | 還付加算金の起算点(その翌日から計算) |
|---|---|
| 更正・決定・賦課決定で確定した関税の過納金 | 納付の日(法定納期限前の納付なら法定納期限) |
| 更正の請求に基づく更正による過納金 | 請求日の翌日から3月を経過する日と更正日の翌日から1月を経過する日のいずれか早い日 |
| その他の過誤納金 | 過誤納となった日として政令で定める日の翌日から1月を経過する日 |
関税の徴収権は、法定納期限等から5年間行使しないことによって時効消滅する(関税法第14条の2第1項)。
結論を分ける事実
- 担保は国税通則法第50条の列挙物か(列挙外の動産等は担保にならない)。
- 過誤納金がどの原因で生じたか(職権更正か、更正の請求に基づく更正か、単純過誤納か)。
- 過誤納金の額が1万円未満か、計算した加算金が1,000円未満か。
- 問われているのが徴収権の消滅時効(5年)か、更正・決定の期間制限(原則5年・偽りその他不正の行為は7年)か。
典型的なひっかけ――誤った考え方
- 「還付加算金は常に納付の日の翌日から付く」という思い込み。更正の請求に基づく更正では「請求日翌日から3月」と「更正日翌日から1月」のいずれか早い日の翌日からであり、請求してすぐには走らない。
- 過誤納金1万円未満には加算金を付けず(関税法第13条第4項)、計算した加算金1,000円未満は加算しない(同条第5項)のを無視する誤り。
- 徴収権の消滅時効(関税法第14条の2・5年)と更正・決定の期間制限(関税法第14条・5年、不正7年)を混同する誤り。前者は確定した税を取り立てる権利、後者は税額を確定させる処分の期限である。
- 「還付は貨物や有価証券でもよい」という誤り。還付は金銭に限る。
ミニドリル
A:輸入者は3月10日に更正の請求をし、税関長は7月1日に減額更正をした。B:輸入者は単純な二重納付に気づき、その過誤納は政令で定める日として4月1日に生じたものとされた。それぞれ還付加算金はいつから計算するか。
解答
Aは「請求日(3月10日)の翌日から3月を経過する日=6月10日」と「更正日(7月1日)の翌日から1月を経過する日=8月1日」のいずれか早い6月10日の翌日、すなわち6月11日から計算する(関税法第13条第2項第2号)。Bは過誤納となった日(4月1日)の翌日から1月を経過する日=5月1日の翌日、すなわち5月2日から計算する(同項第3号)。いずれも過誤納金1万円未満なら加算金自体が付かない(同条第4項)。
最低限おさえる型
担保は限定列挙+金銭は納付充当可。還付は金銭で遅滞なく、加算金年7.3%(起算日3類型)。徴収権の消滅時効は法定納期限等から5年。