第5部 分類・EPA・通関手続

論点5G 関税の確定・納付(実務)――法定納期限と納期限を分ける

第60回(令和8年)対応|法令・告示・通達の基準日:2026年7月1日

過去問実績: 第54〜59回で5問(5回)。主な根拠: 関税法6条の2・7条・9条・9条の2・12条。

確定方式・納期限の条文対比(第2科目)は論点6E・論点6Gで扱う。本論点は納付の実務フローに絞る。

判断課題

その関税はどの方式で確定するか。いつまでに納付すべきか。延滞税はいつから起算するか。この三つは別の問いである。

原則

関税額の確定は、納税義務者の申告により確定する申告納税方式が原則である(関税法6条の2第1項1号)。賦課課税方式によるのは、入国者の携帯品・別送品、課税標準となるべき価格が20万円を超えるもの等を除く郵便物、相殺関税・不当廉売関税、一定の事実が生じた場合に直ちに徴収する関税、そして過少申告加算税・無申告加算税・重加算税である(同項2号)。これに対し延滞税は、特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する(同条2項)。

法定納期限(関税法12条9項) 納期限(関税法9条)
延滞税の起算基準。原則は貨物を輸入する日(輸入の許可を受ける貨物は許可の日)。 実際に納付すべき期限。原則は申告に係る貨物を輸入する日まで(関税法9条1項)。
特例申告貨物は特例申告書の提出期限、納期限が延長された関税はその延長された期限。 期限内特例申告書は特例申告書の提出期限、期限後特例申告書は提出した日(関税法9条2項1号2号)。
修正申告や更正があっても、当初の法定納期限は動かない。 輸入許可後の修正申告は「修正申告をした日」、更正・決定は「通知書が発せられた日の翌日から起算して1月を経過する日」(関税法9条2項4号〜7号)。

納期限の延長は、個別申告・包括申告のいずれも担保を提供して3月以内(関税法9条の2第1項2項)、特例申告は2月以内(同条3項4項)である。ただし特例輸入者の2月延長だけは担保の提供が要件ではなく、税関長が関税の保全のため必要と認めるときに提供を命ずることができるにとどまる。特例委託輸入者は担保の提供が要件である。なお、過少申告加算税は賦課決定通知書が発せられた日の翌日から起算して1月を経過する日と輸入の許可の日のいずれか遅い日まで、無申告加算税は通知書が発せられた日の翌日から起算して1月を経過する日までに納付する(関税法9条3項4項)。

結論を分ける事実

  1. その関税が申告納税方式か賦課課税方式か。附帯税ごとに確定の仕方が違う。
  2. 一般の申告か、特例申告か、輸入許可後の修正申告・更正・決定か。
  3. 問われているのが延滞税の起算点(法定納期限)か、納付義務の期限(納期限)か。

典型的なひっかけ――誤った考え方

ミニドリル

輸入の許可を受けた貨物について、A:許可の日から3か月後に修正申告をして増差税額を納付した。B:同じ貨物について税関長の更正を受け、更正通知書が発せられた。それぞれ納期限はいつか。また延滞税はいつから起算するか。

解答

A:納期限は修正申告をした日である(関税法9条2項4号)。延滞税は法定納期限、すなわち輸入の許可の日の翌日から起算する(関税法12条1項・9項)。B:納期限は更正通知書が発せられた日の翌日から起算して1月を経過する日である(関税法9条2項5号)。延滞税の起算はAと同じく輸入の許可の日の翌日であり、納期限が動いても法定納期限は動かない。なお、法定納期限から1年を経過する日後に修正申告がされ、または更正通知書が発せられた場合は、一定の日数が延滞税の計算から控除される(関税法12条10項)。

最低限おさえる型

確定方式は原則申告納税・加算税は賦課課税・延滞税は無手続。納付は輸入する日まで、延長は担保と引換えに3月(特例申告2月)。修正申告は「した日」、更正・決定は「発出翌日から1月」。延滞税の起算はいつも法定納期限(原則は許可の日)の翌日。