第6部 関税法等の制度論点

論点6N 保税地域の種類と外国貨物を置く期間――「指定」は財務大臣、2年の起算は承認日

第60回(令和8年)対応|法令・告示・通達の基準日:2026年7月1日

過去問実績: 第54〜59回で5問(5回)。主な根拠条文: 関税法第29条〜第37条・第43条の2ほか。

判断課題

5種の保税地域の設置主体と期間の数値を取り違えずに答える。特に「誰が設けるか(指定/許可)」「何月・何年がどの場面の数字か」の判定である。

原則

保税地域は、指定保税地域・保税蔵置場・保税工場・保税展示場・総合保税地域の5種である(関税法第29条)。外国貨物は保税地域以外の場所に置けないのが原則で、例外は難破貨物、税関長が期間・場所を指定して許可した貨物(他所蔵置)、特定郵便物等、税関長が取締り上支障がないと認める信書便物、特例輸出貨物である(関税法第30条第1項)。輸入してはならない貨物のうち麻薬・けん銃等(輸入の目的以外の目的で本邦に到着したものに限る)は保税地域にも置けない(同条第2項)。主要な数値は次のとおり対比して覚える。

指定保税地域 保税蔵置場
財務大臣が「指定」する公共的施設(関税法第37条) 税関長が「許可」する(関税法第42条第1項)。許可期間は10年以内・更新可(同条第2項)
入れた日から1月を経過すると収容の対象(関税法第80条第1項第1号) 入れた日から3月を超えて置くには蔵入承認が必要(関税法第43条の3第1項)
蔵置期間の承認制度はない(短期の積卸し・一時蔵置の場) 置ける期間は最初に置くことが承認された日から2年(関税法第43条の2第1項)。特別の事由があれば申請により延長可(同条第2項)

保税工場に外国貨物を置ける期間も、保税作業のため置くこと等が承認された日から2年である(関税法第57条)。保税地域にある外国貨物を見本として一時持ち出すには税関長の許可を要する(関税法第32条)。

結論を分ける事実

  1. 設置行為が「指定」(財務大臣・指定保税地域のみ)か「許可」(税関長・他の4種)か。
  2. 「3月」は蔵入承認が要るまでの猶予、「2年」は蔵置できる上限――どちらを聞かれているか。
  3. 2年の起算点は「最初に置くことが承認された日」か搬入日か。
  4. 期間を過ぎた貨物の効果――指定保税地域1月経過・蔵置期間経過はいずれも収容(関税法第80条)。

典型的なひっかけ――誤った考え方

ミニドリル

A:4月1日に指定保税地域に入れられた外国貨物が、5月10日現在もそのまま置かれている。B:4月1日に保税蔵置場に入れられた外国貨物につき、6月20日に蔵入承認を受け、引き続き置かれている。それぞれの貨物の状態を述べよ。

解答

Aは入れた日(4月1日)から1月を経過しており、税関長が収容することができる状態にある(関税法第80条第1項第1号)。指定保税地域に長期蔵置の承認制度はない。Bは入れた日から3月(7月1日)より前に蔵入承認を受けており適法で、以後は承認の日(6月20日)から2年間置くことができる(関税法第43条の3第1項・第43条の2第1項)。2年の時計は搬入日(4月1日)からではなく承認日から走る。

最低限おさえる型

5種。指定=財務大臣・1月で収容対象。蔵置場=税関長許可(10年以内・更新可)、搬入から3月超は蔵入承認、蔵置は承認日から2年(延長可)。