第6部 関税法等の制度論点
論点6Q 減免税・戻し税(定率法の主要制度)――期間の数字と条番号で機械的に取る
第60回(令和8年)対応|法令・告示・通達の基準日:2026年7月1日
過去問実績: 第54〜59回で12問(6回・毎回2問)。主な根拠条文: 定率法第10〜20条の3。
判断課題
第54〜59回では毎回2問出題された数字勝負のユニットである。事案がどの減免税・戻し税制度に乗るかを見極め、その制度の期間・手続要件(事前届出の要否・搬入先)・効果(免税か軽減か払戻しか)を言い当てる。
原則
主要10制度を「期間×効果」で一覧化する。すべて関税定率法である。
| 制度(条文) | 効果と期間の核 |
|---|---|
| 変質・損傷減税(定率法第10条) | 輸入許可(BP承認)前の変質・損傷→軽減。許可後保税地域等に置かれた間の災害等による滅失・変質・損傷→払戻し |
| 加工・修繕輸出貨物の減税(定率法第11条) | 輸出許可の日から1年以内に輸入→軽減。加工は本邦で困難なものに限る |
| 製造用原料品の減免税(定率法第13条) | 輸入許可の日から1年以内に税関長承認工場で製造終了→軽減・免除。担保は任意 |
| 無条件免税(定率法第14条) | 注文取集めの見本(6号)、性質・形状が変わっていない再輸入品(10号)、課税価格合計1万円以下(18号)等→免税・事後要件なし |
| 特定用途免税(定率法第15条) | 免税。許可の日から2年以内に用途外使用・譲渡→その者から直ちに徴収 |
| 外交官用貨物等免税(定率法第16条) | 免税。政令指定物品は許可の日から2年以内の用途外使用で徴収 |
| 再輸出免税(定率法第17条) | 許可の日から1年以内に輸出→免税。不輸出・用途外は直ちに徴収 |
| 再輸出減税(定率法第18条) | 許可の日から2年以内(特に長期使用の政令貨物は5年以内の政令期間)に輸出→軽減 |
| 同一状態再輸出戻し税(定率法第19条の3) | 輸入の際にあらかじめ届出+許可の日から1年以内に輸出→払戻し |
| 違約品等の戻し税(定率法第20条) | 性質・形状に変更を加えず、許可の日から6月以内(承認で1年以内)に保税地域搬入。返送のため輸出(1・2号)又は事前承認廃棄→払戻し |
結論を分ける事実
- 期間の数字――1年(定率法11条・13条・17条・19条の3)、2年(定率法15条・16条・18条)、6月(定率法20条の搬入)。
- 効果――17条は免税、18条と11条は軽減にとどまる。
- 輸入時の手続の要否――19条の3はあらかじめの届出が必須、20条(違約品)に輸入時の手続は不要。
- 事後管理型(15〜18条)か、事後要件なし(定率法14条)か――用途外使用等があれば「直ちに」徴収。
典型的なひっかけ――誤った考え方
- 「第18条(再輸出)は免税」「第11条(加工修繕)は免税」という効果のすり替え。免税は第17条、第18条・第11条は軽減である。
- 「違約品の戻し税は輸入時に届け出た貨物に限る」という誤り。事前届出が要るのは第19条の3であり、第20条に輸入時の手続はない。
- 「違約品は1年以内に輸出すればよい」という誤り。第20条の要件は許可の日から6月以内(税関長の承認で1年以内)の保税地域搬入である。
- 「特定用途免税の貨物を2年内に用途外使用しても、確定申告的に後で納めればよい」という誤り。用途外に供し又は譲渡した者から「直ちに」徴収する(定率法第15条第2項)。
ミニドリル
A:輸入者は関税を納付して輸入した機械が契約の仕様と相違していたため、性質・形状に変更を加えないまま、輸入許可の日から5月目に保税地域に入れ、売手に返送するため輸出した。B:輸入者は展示会で使う予定の物品を関税を納付して輸入したが(輸入時に何の届出もしていない)、予定変更で不要となり、未使用のまま許可の日から10月目に輸出した。それぞれ関税は払い戻されるか。
解答
Aは払い戻される。品質等が契約の内容と相違するため返送がやむを得ない違約品であり、許可の日から6月以内に保税地域に入れ、返送のため輸出している(定率法第20条第1項第1号)。輸入時の届出は不要である。Bは払い戻されない。同一状態での再輸出による戻し税(定率法第19条の3)は「輸入の際にあらかじめ税関長に届け出た貨物」に限られ、事後にこの制度へ乗ることはできない。契約相違等の第20条各号事由もないため、単なる予定変更では戻し税の途がない。
最低限おさえる型
1年=加工修繕・製造用原料品・再輸出免税・同一状態再輸出/2年=特定用途・再輸出減税/6月=違約品の保税地域搬入。17条は免税・18条と11条は軽減。19条の3のみ輸入時の事前届出。