第6部 関税法等の制度論点
論点6X 外為法(輸出の許可・輸入の承認)――「許可」は輸出48条1項だけ
第60回(令和8年)対応|法令・告示・通達の基準日:2026年7月1日
過去問実績: 第54〜59回で12問(6回・毎回2問)。主な根拠条文: 外為法第48条・第52条ほか。
判断課題
第54〜59回では毎回2問出題された。肢の手続が「許可」か「承認」か、権限者が誰か、根拠(安全保障か経済的理由か)は何かを判定する。
原則
輸出と輸入で使う言葉と枠組みが非対称であることが、この論点のほぼすべてである。
| 輸出(外為法48条) | 輸入(外為法52条) |
|---|---|
| 「許可」(1項)――国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められる特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物(武器・大量破壊兵器関連等のリスト規制品)。2項によりキャッチオール規制として他の地域向けにも許可義務を課せる。 | 「許可」の制度はない。 |
| 「承認」(3項)――国際収支の均衡の維持、外国貿易及び国民経済の健全な発展、条約等の誠実な履行、国際平和への寄与、閣議決定の実施のため、政令(輸出貿易管理令)で義務を課せる。 | 「承認」(外為法52条)――外国貿易及び国民経済の健全な発展等のため政令で義務を課せる。輸入割当て(IQ)品目、特定の原産地・船積地域からの特定貨物等が輸入公表で示される。目的に「国際収支の均衡の維持」はない。 |
権限者はいずれも経済産業大臣である。技術(特定技術)の提供を目的とする役務取引にも経済産業大臣の許可を要する(外為法25条)。税関は許可・承認の権限者ではなく、関税法70条により輸出入申告の際に許可・承認等を受けている旨の証明を求め、証明・確認がなければ輸出又は輸入を許可しない、という確認側に立つ。違反には罰則のほか行政制裁(外為法53条)があり、無許可輸出をした者には3年以内の期間を限り輸出等を禁止でき、その他の輸出入違反者には原則1年以内(国際平和のための閣議決定に基づく対応措置違反は3年以内)の期間を限り輸出又は輸入を禁止できる。時事では、大量破壊兵器関連が中心であったキャッチオール規制を通常兵器関連にも拡大する改正が令和7年10月9日に施行されている。
結論を分ける事実
- 輸出か輸入か――「輸入の許可」という肢はその一語で誤り。
- 輸出なら48条1項の「許可」(安全保障)か、3項の「承認」(経済的理由等)か。
- 権限者――経済産業大臣か、税関長・財務大臣にすり替えられていないか。
- 税関との接続――関税法70条の証明・確認の話か、外為法上の許可・承認の話か。
典型的なひっかけ――誤った考え方
- 「輸出の承認」「輸入の許可」と用語を入れ替える肢。安全保障貿易管理の「許可」は輸出側(外為法48条1項)にしかない。
- 「税関長の許可を受けなければならない」とする肢。外為法上の権限者は一貫して経済産業大臣であり、税関は70条の確認をするにとどまる。
- 少額特例などの適用除外が全品目に及ぶとする肢。除外は政令・省令レベルの定めであり、武器等のリスト規制品の一部には及ばない。
- 違反の行政制裁を「5年以内の輸出入禁止」等とする数値ずらし。無許可輸出=3年以内の輸出等禁止が軸である。
ミニドリル
A:輸入割当てを受けるべき品目を輸入しようとする者は、経済産業大臣の輸入の許可を受けなければならない。B:リスト規制品を規制対象地域向けに輸出しようとする者は、経済産業大臣の輸出の許可を受けなければならない。それぞれ正しいか。
解答
Aは誤り。輸入側にあるのは「承認」であり(外為法52条)、輸入割当てを受けた者は輸入の承認を受ける。「輸入の許可」は関税法67条の税関長の許可と混同させる定番の作りである。Bは正しい。国際的な平和及び安全の維持を妨げると認められる政令で定める特定の種類の貨物を特定の地域を仕向地として輸出する者は、経済産業大臣の許可を受けなければならない(外為法48条1項)。
最低限おさえる型
輸出の許可(外為法48条1項・安全保障)+輸出の承認(外為法48条3項)/輸入は承認のみ(外為法52条・IQ等)。権限者は経済産業大臣、税関は70条で証明・確認。違反は罰則+輸出等禁止(無許可輸出は3年以内)。