第6部 関税法等の制度論点
論点6Y NACCS・電子情報処理組織による手続――到達は「ファイル記録の時」
第60回(令和8年)対応|法令・告示・通達の基準日:2026年7月1日
過去問実績: 第54〜59回で5問(5回)。主な根拠条文: NACCS法(電子情報処理組織による輸出入等関連業務の処理等に関する法律)。
判断課題
NACCSによる電子申告の法的性質(書面申告との関係)、手続の効力発生時点、通関士の審査の要否について、肢の正誤を判定する。
原則
NACCS法は、輸出入申告・納税・保税・港湾空港手続等を電子情報処理組織で処理する根拠法である。電子情報処理組織とは、運営主体である輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社(NACCSセンター)の電子計算機と、税関その他の関係行政機関(港湾管理者を含む)及び民間利用者の電子計算機とを電気通信回線で接続したものをいう(NACCS法2条)。電子申告には情報通信技術活用法の規定が適用され(NACCS法3条1項)、申請等はセンターの電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に行政機関等に到達したものとみなされる。税関側の処分通知等も電子的に行うことができ、政令で定めるものはセンターのファイルへの記録の時に発せられたものとみなす(NACCS法3条2項)。関税等の納付では、口座振替の納付書がセンター経由で金融機関に送付された時に納付されたものとみなして輸入の許可(関税法72条)の規定を適用する仕組みがある(NACCS法4条)。通関業者が電子情報処理組織を使用して他人の依頼による申告等を行う場合には、その入力の内容を通関士に審査させなければならない(NACCS法5条)。すなわち通関業法14条の通関士審査は電子申告でも省略されない。時事としては、第7次NACCSが令和7年10月12日に稼働している。
結論を分ける事実
- 効力発生(到達)の時点――センターのファイルへの記録の時か、それ以外(送信時・閲覧時)か。
- NACCS申告が関税法上の申告そのものか、別個の簡易手続と描かれていないか。
- 通関士の審査(入力内容の審査)が要求される場面か。
- 運営主体――NACCSセンター(株式会社)か、税関・国か。
典型的なひっかけ――誤った考え方
- 「NACCSによる申告は簡易な特例手続であり、書面申告と法的効果が異なる」とする肢。電子申告も関税法上の申告そのものである。
- 到達時点を「利用者が送信した時」「税関職員が入力内容を閲覧した時」とする肢。センターのファイルへの記録の時である。
- 「電子申告では通関士の審査を要しない」とする肢。NACCS法5条が明文で審査を義務付けている。
- NACCSの利用を法律上の義務とする肢。書面による手続も法律上は可能である。
ミニドリル
A:通関業者がNACCSで他人の依頼による輸入申告を行う際、入力内容の通関士による審査を省略した。B:NACCSで送信した輸入申告の効力発生時点を、センターの電子計算機のファイルへの記録がされた時と説明した。それぞれ正しい取扱いか。
解答
Aは誤り。電子情報処理組織を使用して行う他人の依頼による申告等(通関業法14条の通関書類に係るもの)については、入力の内容を通関士に審査させなければならない(NACCS法5条)。Bは正しい。情報通信技術活用法6条3項の読替え適用により、申請等はセンターの使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に到達したものとみなされる(NACCS法3条1項)。
最低限おさえる型
NACCS=センター会社が運営する電子処理組織。到達=センターのファイル記録時。電子申告も関税法上の申告そのもので、通関士審査(NACCS法5条)は省略されない。