第5部 分類・EPA・通関手続
論点5E 輸出通関手続(実務)――輸入と入れ替えて出題される
第60回(令和8年)対応|法令・告示・通達の基準日:2026年7月1日
過去問実績: 第54〜59回で6問(6回・毎回1問)。主な根拠: 関税法67条・67条の2・67条の3・70条・75条、関税法施行令59条の2。
条文の要件・主体・期限の面(第2科目)は論点6Kで扱う。本論点は実務の処理順に絞る。
判断課題
輸出申告を、いつ、どこの税関長に、いくらの価格で行うか。他法令の規制は、申告の際と検査の際のどちらで証明するか。
原則
輸出は「申告→他法令の証明→検査→許可」で完結する。貨物の品名・数量・価格その他必要な事項を税関長に申告し、必要な検査を経て許可を受ける(関税法67条)。申告先は、貨物を入れる保税地域等の所在地を所轄する税関長である(関税法67条の2第1項)。申告価格は本邦の輸出港における本船甲板渡し価格(FOB)であり、航空機で輸出する貨物はこれに準ずる条件による価格、無償で輸出する貨物は有償で輸出するとした場合の価格を用いる(施行令59条の2第2項)。外国通貨の本邦通貨への換算は、輸入貨物の課税価格を計算する場合の例による(同条4項)。
| 輸出通関 | 輸入通関 |
|---|---|
| 申告価格は本邦の輸出港におけるFOB価格(施行令59条の2第2項)。 | 申告価格は課税価格(定率法4条以下、CIFが基準)。 |
| 保税地域等への搬入後という要件はない。67条の2第3項が搬入後を要求するのは輸入申告だけである。 | 原則として貨物を保税地域等に入れた後に申告する(関税法67条の2第3項)。 |
| 納税申告はなく、関税の納付は許可の要件ではない。 | 関税が納付された後でなければ許可されない(関税法72条)。 |
| 特定輸出者・特定委託輸出者・特定製造貨物輸出者は、いずれかの税関長に申告でき、保税地域等に入れないまま許可を受けられる(関税法67条の3)。 | 特例輸入者・特例委託輸入者は搬入前申告ができる(関税法67条の2第3項3号)。 |
他法令の規制については、許可・承認その他の処分は輸出申告の際にその処分を受けている旨を証明し(関税法70条1項)、他法令による検査の完了・条件の具備は67条の検査その他税関の審査の際に証明して確認を受ける(同条2項)。証明されず、または確認を受けられない貨物は輸出を許可しない(同条3項)。外国貨物を外国に向けて送り出す積戻し(関税法75条)には、67条・67条の2第1項2項・67条の3第1項・68条から69条の10まで・70条が準用される。
結論を分ける事実
- 申告価格の基準がFOBか課税価格か。
- 搬入後要件の有無。輸出にはない。
- 他法令の規制が「許可・承認等」か「検査の完了・条件の具備」か。証明の時点が違う。
典型的なひっかけ――誤った考え方
- 輸出申告にも搬入後要件があるとする誤り。67条の2第3項は輸入申告についての規定であり、輸出と輸入を入れ替えて出題される定番である。
- 70条1項と2項の時点の取り違え。許可・承認等は「申告の際」に証明、他法令の検査完了・条件具備は「検査その他審査の際」に証明して確認を受ける。
- 輸出申告の価格を課税価格(CIF)とする誤り。無償で輸出する場合でも、有償で輸出するとした場合の価格を申告する。
- 積戻しを「輸入通関を経てから輸出する手続」とする誤り。外国貨物のまま送り出す手続である。
- 特定輸出申告等の特則(関税法67条の3)と、原則の申告先(関税法67条の2第1項)の混同。特則では申告先が「いずれかの税関長」に広がり、保税地域等への搬入も要しない。
ミニドリル
A:外国為替及び外国貿易法により経済産業大臣の輸出の許可を受けなければならない貨物を輸出する。B:他法令の規定により輸出に際して検査を受けなければならない貨物を輸出する。それぞれ、税関に対する証明はいつ行うか。
解答
A:許可・承認その他の行政機関の処分を必要とする貨物であるから、輸出申告の際に、当該許可を受けている旨を税関に証明する(関税法70条1項)。B:検査の完了は、67条の検査その他輸出申告に係る税関の審査の際に証明し、その確認を受ける(関税法70条2項)。いずれも欠ければ輸出は許可されない(同条3項)。「どちらも申告の際」とする選択肢が定番の誤りである。
最低限おさえる型
輸出は「申告(FOB価格)→他法令の証明→検査→許可」。搬入後要件なし・納税なし、この2点が輸入との違い。