3科目ガイド 07

第6章 三科目横断事例――輸入機械の通関

30秒想起:課税価格の算定経路を「現実支払価格」と「未算入の法定加算要素」に分けて説明せよ。XE は何を区別するか。

事例

輸入者M社は、外国の売手X社から包装機械を購入した。M社は通関業者A社へ輸入申告を委託する。仕入書はFOB価格で、M社は海上運賃・保険料を別途負担する。X社の親会社へロイヤルティ等も支払う。輸入申告の日以後、国内工場で据付けと操作指導を受ける。これらの費用は契約書で区分されている。

通関業法の問い

関税法等の問い

通関実務の問い

まず自分で埋める判断表

科目 主体 基準時・事実 判断 効果・答案処理
通関業法
関税法等
通関実務

判断表のモデル

論点 モデル判断 確認すべき証拠・留保
申告の代理 A社が他人であるM社の依頼を受けて輸入申告を代理する行為は通関業務に当たる。 委任関係と実際の業務範囲を確認する。
通関士の審査・記名 政令で定める輸入申告関係書類は、通関士の審査・記名の対象となる。 対象書類かを条文・施行令で確認する。
検査時の通知 税関長が検査を行う場合の通関業者への通知と、増額更正前の意見聴取は別制度である。 問題文が検査か更正かを確認する。
意見を述べる機会 A社がした納税申告について、分類・課税価格等の解釈相違による増額更正をしようとする場面では、A社に機会が与えられる。 更正理由と、申告をした通関業者を確認する。
納税義務者 通常の輸入取引では輸入者M社が納税義務者となる。A社は申告を代理しても当然に納税義務者へ置き換わらない。 例外的納税義務者の設問かを確認する。
課税物件・適用法令 通常の輸入申告貨物では輸入申告時を基本に検討するが、法定例外の有無を別に確認する。 貨物の状態、保税作業、亡失等の特殊事情を確認する。
保税上の地位 輸入許可前は外国貨物として、原則として保税地域で管理する。許可後に内国貨物となる。 搬入前申告等の例外手続と混同しない。
品目分類・税率 機械の機能・構成・用途を、通則、部注・類注、項・号の文言へ当てはめ、使用資格のある税率を選ぶ。 「包装機械」という商品名だけでは番号を確定できない。
特殊関係 事例だけではM社とX社の特殊関係も価格影響も認定できない。仮に特殊関係があっても、価格への影響を別に判定する。 資本・役員・支配関係と価格資料を確認する。
FOB・運賃・保険料 FOBの仕入書記載額を現実支払価格の出発点とし、未算入の輸入港までの運賃・保険料等は法定加算要素として課税価格に算入する。 二重加算を避けるため価格条件と支払資料を確認する。
ロイヤルティ等 名称だけでは決めず、輸入貨物に係ることと、その輸入貨物の輸入取引をするための支払であることを別々に判定する。 ライセンス契約、売買契約、供給統制、支払先を確認する。
据付け・操作指導 輸入申告の日以後に行われる役務の対価で、支払総額から額を明らかにできる部分は現実支払価格に算入しない。 実施時期と区分額を確認する。

横断して見えること

一つの申告誤りは、単なる計算ミスでは終わらない。依頼者の納税額、通関業者の作成・審査、税関長の更正、意見聴取、事後調査に接続する。試験では科目ごとに分かれていても、実務では同じ取引記録が根拠になる。

ミニ確認

  1. ライセンス料は、名称だけで加算できるか。
  2. 据付費が仕入書総額に含まれていれば必ず課税されるか。
  3. 通関士試験合格者が申告書を作成すれば、通関業者の責任はなくなるか。

解答

  1. できない。輸入貨物との関連性と、輸入取引をするための支払であるかを確認する。
  2. 必ずではない。輸入申告の日以後に行われる据付け等で、支払総額から額を明らかにできれば現実支払価格に算入しない。
  3. ならない。通関士の審査・記名と、通関業者の法的地位・義務を混同しない。

誤答した行は、『ケースで身につく通関実務』の判断マップへ戻る。分類ならHS分類チートシート、価格算定経路なら論点1A論点1O、税率・端数なら論点2A論点2E、申告欄なら論点3A以降を使う。

三科目横断の累積確認

資料を見ず、各問について「主体・基準時・根拠・効果」を一文で答える。

  1. A社が申告を代理しても、納税義務者が当然にA社へ変わらないのはなぜか。
  2. 輸入申告の日以後に行う据付け費を課税価格に算入しないため、時期以外に何が必要か。
  3. 特殊関係がある事例を、取引価格方式を使える結論へ変えるには何を示す必要があるか。
  4. 少額合算欄を単独少額欄へ変える一つの事実は何か。

解答の核:1は申告代理と納税義務の主体が別であること。2は支払総額から額が明らかであること。3は特殊関係が価格へ影響していないこと。4は一欄一品目のみとなること。各問の結論が逆になる条件も一つ挙げる。